今日、というか正確には昨日(1月17日)は所用で西荻窪に赴いた。少し早めに着き、ちょうど昼飯時だったので、なにか軽く食べておこうと駅から見渡すと、すぐ傍に松屋の看板が見えた。店内を覗いたらカウンターに空席がある。そうだ、ここでは数日前から珍しいグルジア(サカルトヴェロ)料理が供されているはずだ、と思い出す。物は試し、それを食すことにしよう。
入口の目立つ場所にポスターが掲出され、「シュクメルリ鍋定食 790円/今ならライス大盛り無料」とある。扉を開けると店内はチーズと大蒜の匂いが充満している。ははあ、これが噂のグルジア料理か、と迷うことなく自販機の釦を押した。もちろんライスは大盛りで。
シュクメルリ(შქმერული)とは「鶏肉をガーリック・クリーム・ソースで煮込んだ、伝統的なジョージア料理の一つである。鶏肉、レイリョウコウ、コリアンダー、ニンニク、牛乳が主な食材である」とウィキペディアにある。はてさて、どんな料理が出てくるのか、興味津々である。
席で待つこと七分ほど。鉄鍋にたっぷり盛られた黄白色のシチューが運ばれてきた。おお、これが話題のシュクメルリなのか。鍋の下では固形燃料が燃えさかり、アツアツのシチューからは沸々とあぶくが湧きたつ。具は大ぶりの鶏肉が七つ、八つ、それに薩摩芋が四つほどゴロリ。いい具合にこってり煮込まれて、いかにも旨そうだ。だが注意しないと火傷しそうな熱さである。
スプーンで鶏肉を掬い上げるが、そのまま食したら必ずや口内を傷めてしまう。まずはご飯の上に載せて、少しばかり冷まさねばならぬ。急いては事を仕損じる。昨日の御籤にも「もの事を急ぐべからず」とあったではないか!
たっぷり時間をかけてシチューを口に運ぶ。チーズと大蒜の味に浸された鶏肉と薩摩芋を心ゆくまで味わう。慌ててはならぬ。これぞシュクメルリ攻略の要諦と見つけたり。鍋が冷める心配は無用。なにしろ固形燃料はまだ燃えているのだ。焦げてきたら、スプーンでこそげ取って食べるのも一興だ。
早食いの小生にしては珍しく、よく玩味しながらニ十分ほどかけてゆっくり完食。途中でやや塩味が強すぎると感じる瞬間もあったが、その都度サラダを食して舌を紛らわした。すっかりグルジア気分で最後にスープを飲んだら、いつもと変わらぬ若布と油揚の味噌汁なので、ここがコーカサスでなく西荻の松屋だと気づいて我に返った。