1990年代はCD全盛期であり、新旧大小さまざまなレーベルから新譜がどっと出た。いろいろ買い漁り、憑かれたように聴き続けたものだが、そのなかにガーシュウィンとクルト・ワイルがあったのは僥倖だったと今にして思う。
ガーシュウィンは編曲ものではなく、当時の演奏スタイルや当初のオーケストレーションにこだわったオーセンティックな演奏が主流を占めたのは、古楽器スタイルによるバロック~古典音楽が隆盛したのと軌を一にした現象だったと、これも今にして思うのである。
"Fascinating Rhythm: The Complete Solo Music of Gerge Gershwin"
ガーシュウィン:
リアルト・リップルズ
二つのハ調のワルツ
《ジョージ・ガーシュウィンのソングブック》
■ スワニー
■ ノーバディ・バット・ユー
■ ザ・マン・アイ・ラヴ
■ アイル・ビルト・ア・ステアウェイ・トゥ・パラダイス
■ ドゥー・イット・アゲイン
■ ファシネイティング・リズム
■ オー、レイディ・ビー・グッド
■ サムバディ・ラヴズ・ミー
■ スウィート・アンド・ロウ・ダウン
■ クラップ・ヨ・ハンズ
■ ドゥー・ドゥー・ドゥー
■ マイ・ワン・アンド・オンリー
■ ス・ワンダフル
■ ストライク・アップ・ザ・バンド
■ アイ・ガット・リズム
■ フー・ケアズ?
■ ザット・サートン・フィーリング
■ ライザ
《レイディ、ビー・グッド》序曲
二つの調の即興曲
三つの前奏曲
バレエ ~《プリムローズ》
四分の三拍子のブルーズ
プロムナード ~《躍らん哉》(H・ボーン編)
メリー・アンドルー ~《ロザリー》
ジャズボ・ボラウン ~《ポーギーとベス》
《ガール・クレイジー》序曲
ピアノ/アンジェラ・ブラウンリッジ1989年11月16、17日、ロンドン?
Hyperion/Helios CDH88045 (1990)
→アルバム・カヴァーこれもそんな時期に手にした一枚。いつ、どんなきっかけで見つけたのか、もう記憶の彼方だが、CDケースの裏に懐かしのART VIVANTの値札が貼ってある。二千円也。
アンジェラ・ブラウンリッジ(Angela Brownridge)は全く知らない人だが、英国の閨秀ピアニストで二十五枚のCD録音がある由。ほかにベートーヴェン、シューマン、チャイコフスキー、サティ、それにサミュエル・バーバーのピアノ曲集など。とりたててガーシュウィンに特化した人ではないらしく、本盤の演奏もこれといって際だった特徴には乏しいが、いかにも音楽的に筋のいい端麗な演奏だ。
一枚でガーシュウィンのピアノ独奏作品が(ほぼ)網羅されているのが難有く、なによりも《ガーシュウィンのソングブック》全十八曲が弾かれるのが好もしい。曲順も(小生が永く馴染んだアンドレ・ワッツと同じく)「スワニー」から始まるのが嬉しいことだ。