佐倉のDIC川村記念美術館で待望の展覧会「ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ」が今日(3月23日)から始まった。初日は朝から無情の雨。さすがに出かけるのが躊躇われようが、先日のこと、出品者の特権でほんの少し展示作業を覗かせてもらい、昨日もオープニング前に会場で最終点検してきたので、自信をもって断言できるのだが、本展は間違いなく必見である。
誰もが息を呑むのは、国内各地に所蔵されるコーネルの箱作品のほとんどが一堂に会し、ずらり並べられた展示だろうが、この美術館で三度目になるコーネル展の見どころはそれだけではない。初期と晩年に集中して制作されたコラージュ作品にも捨てがたい魅力があるが、かなりの作品にかつて見憶えがある。
本展の独自性は、副題が示すように、コーネルの生涯の全仕事に「コラージュ&モンタージュ」なる特質があると見抜いた着眼点の面白さにある。
箱やコラージュはもちろん、彼が副業としてデザインした雑誌・書籍、展覧会の案内状、密かにしたためた日記や、知友に書き送った手紙などにも同質の方向性を見出す。彼が若い頃から手を染めた映画製作も、既存のハリウッド映画のフィルムを切り刻み、自在に再編した《ローズ・ホバート》を嚆矢とし、これまたコラージュ&モンタージュなのだ。彼の映像作品のほぼすべてが本展の特設ブースで映写されるのをじっくり眺めるのは、コーネル好きには至福のひとときだろう。故ジョナス・メカス主宰の「アンソロジー・フィルム・アーカイヴズ」からもたらされた数本は観た覚えがなく、日本初公開であろう。
かてて加えて、本展にはスタジオに残されたコーネル遺品(ワシントンDCのスミソニアン協会アメリカ美術アーカイヴ蔵)から、彼が箱やコラージュに用いるため手元に置いていた切り抜き素材も出品されている。
憧れのバレリーナ、タマラ・トゥマノヴァや、泰西名画の子供たちの印刷物の丹念な切り抜きは、単なる紙切れに留まらず、すべてコーネルが愛玩し、特別な思いを託した品々であり、すでにして彼の作品なのだといいたくなる。
魔法使いコーネルは神話のミダス王さながら、その手に触れるすべてを黄金に変えることができたのだ。
https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/exhibition-past/2019/cornell/?fbclid=IwAR34xYw6V-dC-HI6xqXsG1h36Oc8DiWBorR_6IZG9G2xYwBDLXi4SzihWRw