老境に入るとチッコリーニは大きく変貌したと実演を聴いた人々は口を揃えて言う。聴き逃した小生はこうして実況録音に耳を傾けるのみ。たしかにこれは純化された秀演だと認めざるを得ない。ちょっと悔しいけれど。
”James Ehnes Plays Prokofiev"
プロコフィエフ:
ヴァイオリン協奏曲 第一番*
二挺のヴァイオリンのためのソナタ**
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ***
ヴァイオリン協奏曲 第二番****
ヴァイオリン・ソナタ 第一番*****
ヴァイオリンとピアノのための五つの旋律******
ヴァイオリン・ソナタ 第二番*******
ヴァイオリン/ジェイムズ・エーネス
ジャナンドレーア・ノセーダ指揮
BBCフィルハーモニック* ****
第二ヴァイオリン/エイミー・シュウォーツ・モレッティ**
ピアノ/アンドルー・アームストロング***** ****** *******
2012年6月28日、2013年2月23日、
サルフォード、メディア・シティ* ****
2013年6月20~22日、
サフォーク、ポットン・ホール** *** ***** ****** *******
Chandos CHAN 10787 (2) (2013)
英国での評価がきわめて高いエーネスのプロコフィエフ。中古盤でどうしても探せずに新品を注文した。CD二枚に作曲家の全ヴァイオリン曲が収められた好企画である。評判に違わず素晴らしい美音の持ち主で、流麗な歌心が好もしい(とりわけ第一協奏曲)。だがそうなると第一ソナタの解釈がいかにも浅く表面的で隔靴掻痒。難しいのだ、プロコフィエフは。
"Romantic Cello -- David & Tatjana Geringas"
シューベルト:
アルペッジョーネ・ソナタ
シューマン:
幻想小曲集
民謡形式による五つの小品
ブラームス:
野の寂しさ ~《六つの歌》作品86の2
旋律のごとく ~《五つの歌》作品105の1
サッフォの頌歌 ~《五つの歌》作品94の4
子守唄 ~《五つの歌》作品49の4
愛の誠 ~《六つの詩》作品3の1
恋の歌 ~《五つの詩》作品71の5
シュトラウス:
ロマンス ヘ長調
チェロ/ダヴィッド・ゲリンガス
ピアノ/タチヤーナ・ゲリンガス
1993年、ハンブルク、フリードリヒ=エーベルト=ハレ
Es-Dur ES 2067 (1993/2016)
《アルペッジョーネ》とシューマンは既存音源と同じだが、ブラームス歌曲のチェロ編曲六曲とシュトラウスの小品が加わったので、改めて入手し直した。現役のチェリストでゲリンガスほどの高みに達した人はいるだろうか。使い古された表現だが、彼の音色は燻し銀のようだ。渋くて、底光りがして、地味ながら、じんわり心に染み入る。何度か遭遇した実演でも、まさしくこの奥床しい響きだった。もう生で聴けないのだろうか。
《ビゼー/ドビュッシー 井上道義:オーケストラ・アンサンブル金沢》
ビゼー:
《子供の遊び》
ドビュッシー(カプレ編):
《おもちゃ箱》*
井上道義 指揮(&語り*)
オーケストラ・アンサンブル金沢
2008年3月22日、金沢、石川県立音楽堂コンサートホール(実況)
ワーナー WPCS-12133 (2008)
すでに廃盤だそうで、しばしば法外な高額がつくが、たまたま安価で出品されたので、すかさずゲット。良くも悪くも井上道義の才気煥発ぶりが横溢し、ビゼーが感興たっぷりの名演だ。ドビュッシーも演奏そのものは悪くないが、井上の語りがアンドレ・エレの台本を完全に無視しているのはどうかと思う。だったら黙って指揮しろよ!