DIC川村記念美術館が来春、ジョゼフ・コーネルの展覧会をやるのだという。1993年(本邦初の回顧展)、2010年(高橋睦郎との二人展)に続く三度目のコーネル展。「二度あることは三度ある」なのか。「三度目の正直」なのか。過去のふたつの展示があまりにも思い出深いので、今度の展示は楽しみなのを通り越して、観るのがちょっと怖いほどだ。
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言うまでもなかろうが、川村はコーネルの七つの箱と九つのコラージュを所蔵し(まだ売却してはいないだろうな?)、これまでも(全点ではないにせよ)いつも常設展示してきた。いわば常日頃から小規模なコーネル展をやり続けてきたような案配だ。たまたま目にして、それを機にコーネル愛好家となった人も多いのではないか。コーネルの名が人口に膾炙するうえで、この館が果たしてきた役割は小さくない。
その川村が三たびコーネル展に挑むからには、他の美術館の場合よりも期待値がはるかに大きく、越えなければならないハードルは格段に高いといわねばなるまい。大丈夫なのか?
《今回の展覧会「ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ(仮称)」では、同館が誇るコーネルのコレクションに加えて、国内の美術館および個人所蔵のコーネル作品が一堂に集結。代表作である「箱」のシリーズやコラージュのほか、上映の機会が少なかった映像作品も紹介される。》
展示されるのが国内作品ばかりなのは残念だが、普段は観られない個人コレクションにも優品があるので、これは侮れない。コーネルが製作した特異な映画群(1993年の回顧展でも上映した)は、今ではDVDでも観られるが、展覧会場で他の作品とともに鑑賞したら、湧き起こる感興もまた格別だろう。
展覧会の副題「コラージュ&モンタージュ」が絶妙だ。なるほど、コラージュとモンタージュはコーネルの全仕事に通底する特質に違いないし、語呂もすこぶる宜しい。
《さらにコーネルがデザインした雑誌などの印刷物や日記、手紙をはじめとする資料も展示。作家の仕事を貫いたコーネルの精神性を見つめ、制作に対する姿勢や人物像にも迫る内容となる。》
このセクションでは、ほんのわずかだが、拙コレクションからも書籍と雑誌が出品される。折りに触れて蒐めてきたコーネル関連資料が日の目を見るのは、やはり嬉しいものだ。