あれやこれやで外出が続いたので、素晴らしい秋日和にもかかわらず、今日はおとなしく在宅。
窓外の抜けるような青空を見上げながら、何もすることがなく、そぞろ感慨にふける。ふと思い立って十年ほど前に戯れで拵えた「わが偏愛の曲ベスト40」なる作品リストを見返し、ちょっと手を加えてみた。配列は鍾愛順ではなしに作曲年代順である。
1. モンテヴェルディ:《ティルシとクローリ Tirsi e Clori》(1616)
2. バッハ: 二台のチェンバロ(ピアノ)のための協奏曲 ハ長調 BWV1061 (c.1727–30)
3. ヘンデル: モテット《風よ静まれ Silete, Venti》(c.1729)
4. モーツァルト: ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 (1779)
5. ハイドン: 交響曲 第八十八番 (1787)
6. メンデルスゾーン: 弦楽八重奏曲 (1825)
7. シューベルト: 弦楽五重奏曲 (1828)
8. ベルリオーズ: 歌曲集《夏の夜》(1841)
9. シューマン: チェロ協奏曲 (1850)
10. ムソルグスキー: 組曲《展覧会の絵》(1874)
11. ブラームス: ヴァイオリン・ソナタ 第一番《雨の歌》(1879)
12. フランク: 交響的変奏曲 (1885)
13. フォーレ: 歌曲集《ヴェネツィアの五つの歌》(1891)
14. エルガー: 歌曲集《海の絵 Sea Pictures》(1899) ☆
15. チュルリョーニス: 四つの前奏曲 作品7 (1901)
16. マーラー: 歌曲集《リュッケルトによる五つの歌》(1901–03)
17. ディーリアス: 《海流 Sea Drift》(1903–04)
18. グラズノーフ: 交響曲 第八番 (1906)
19. ドビュッシー: バレエ音楽《遊戯》(1913)
20. グレインジャー: 架空のバレエのための《戦士たち The Warriors》(1913–16)
21. サティ: 交響的ドラマ《ソクラテス》(1918)
22. ストラヴィンスキー:《兵士の物語 Histoire du soldat》(1918) ☆
23. ルーセル: フルートとピアノのための《笛吹きたち Joueurs de flûte》(1924)
24. ヤナーチェク: 合唱と小アンサンブルのための《わらべ唄 Říkadla》(1925–26) ☆
25. ロパルツ: 前奏曲、マリーヌとシャンソン (1928) ☆
26. ラヴェル: ピアノ協奏曲 (1929–31)
27. クロフォード・シーガー: 弦楽四重奏曲 (1931)
28. シマノフスキ: 合唱曲《クルピエの歌 Piesni kurpiowskie》(1928–29/30–33)
29. ワイル: 《小市民の七つの大罪》(1933) ☆
30. ジョーベール: 映画音楽《アタラント号 L’Atalante》(1934)
31. ケックラン:《リリアンのアルバム Les Albums de Lilian》(1934/35)
32. バルトーク: 女声のための二十七の無伴奏合唱曲 (1935)
33. ヒンデミット:《白鳥を炙る人 Der Schwanendreher》(1935) ☆
34. ショスタコーヴィチ: アニメ映画音楽《愚かな子鼠 Сказка о глупом мышонке》(1939)
35. オネゲル: 交響曲 第二番 (1941) ☆
36. プロコフィエフ: 交響曲 第六番 (1947)
37. リヒャルト・シュトラウス: 歌曲集《四つの最後の歌》(1948) ☆
38. プーランク: フルート・ソナタ (1957)
39. ブリテン: イギリス民謡編曲集 (1943–61)
40. トルミス: 民謡集《忘れられた人々 Unustatud Rahvad》(1970–89)
と、まあ実になんとも好き放題な作品リストである。
作曲家ひとりにつき一曲が鉄則。代表作か否かは問わず、音楽史的な価値判断も脇に退け、ただ「好きだから」という基準だけで選んだ四十人の四十曲。なのでワーグナーもブルックナーも、シェーンベルクもシベリウスもメシアンも登場しない。チャイコフスキーやプッチーニはおろか、ベートーヴェンまで切り捨てた。
「ベスト40」と曲数が中途半端なのは、これにあと十曲からなる「わが偏愛のオペラ十選」が続くからである。
【これよりオペラ十選】
41. モンテヴェルディ:《ポッペアの戴冠》
42. モーツァルト:《フィガロの結婚》
43. ヴェルディ:《リゴレット》
44. ドビュッシー:《ペレアスとメリザンド》☆
45. ラヴェル:《子供と魔法》☆
46. ヤナーチェク:《悧巧な牝狐の物語》
47. アーン:《おお、わが見知らぬ彼氏 O mon bel inconnu》
48. ワイル:《マハゴニー市の興亡》
49. ガーシュウィン:《ポーギーとベス》☆
50. プーランク:《人間の声》☆
閑話旧題。
他の人にはなんの意味もない、およそ役立たずのリストなのだが、自分にとっては一種のセルフ・ポートレートであり、半世紀に達したわが鑑賞人生の総決算ともいうべきもの。お退屈さま!
■ どの曲も実演に接する機会を逃さぬよう努めてきた。もちろん各種音源でも親しんでおり、とりわけ☆印の作品については音盤の完全蒐集を心がけている。