ずっと取り組んできた青柳いづみこさんのCDアルバム『ドビュッシーの墓』の解説書の仕事がさっき終了した。
拙文ライナーノーツは三校まで出してもらい、他のページにも目を光らせ、粗忽な過ちが起こらぬよう万全の注意を払ったつもり。こういうとき、小生はもはや寄稿者ではなく、編集者・校閲者に変じている。ここまで来るともう誤記や脱字は容易に見つからない。前投稿にも書いたが、人事を尽くして天命を待つ心境である。
それと入れ替わるような絶妙なタイミングで、今度は美術館での展覧会カタログの校閲の仕事。英国の抽象画家ブリジット・ライリーの回顧展。展覧会そのものは四月半ばに始まるのだが、カタログは会期途中の刊行になるのだといい、今ちょうど研究者や学芸員の寄稿文が出来上がった段階。それを点検し、校正し、書式を整える。不明な点はそのつど著者に尋ねる。
地味なうえにも地味な作業だが、これこそかつての本業でもあり、今もときおり引き受けている。音楽から美術へ、ドビュッシーからライリーへ。頭のスイッチを瞬時に切り替えて事に当たらねばならぬ。