今日はセルゲイ・ディアギレフの誕生日。生誕百四十五周年は節目としてキリがよくないが、これを祝って一日限定で「パリ・オペラ座 セルゲイ・ディアギレフ生誕145周年記念特別上映 バレエ・リュス」なる上映会があると知った。友人が首尾よく前売券を手に入れてくれたので、日本橋室町のTOHOシネマズ日本橋までいそいそ出向いた。上映開始は正午きっかり。
上映されるのは2009年のバレエ・リュス誕生百周年を記念したガラ公演。演目は《薔薇の精》《牧神の午後》《三角帽子》《ペトルーシュカ》の豪華四本立。いつもの予告篇上映もなしに、いきなり開始される。映画館のライヴ・ヴューイングにつきものの解説や途中休憩もなく、一時間半ひたすらオペラ座バレエ団の絢爛たる舞台を凝視した。今日のプログラムを少し詳しく書き留めておこう。
《薔薇の精》(1911年初演)
音楽/カール・マリア・フォン・ウェーバー(ベルリオーズ編)
原作/テオフィル・ゴーティエ
振付/ミハイル・フォーキン
美術/レオン・バクスト
出演/マティアス・エマン(薔薇の精)、イザベル・シアラヴォラ(乙女)
《牧神の午後》(1912年初演)
音楽/クロード・ドビュッシー
原作/ステファーヌ・マラルメ
振付/ワツラフ・ニジンスキー
美術/レオン・バクスト
出演/ニコラ・ル・リッシュ(牧神)、エミリー・コゼット(ニンフ) ほか
《三角帽子》(1919年初演)
音楽/マヌエル・デ・ファリャ
原作/ペドロ・アントニオ・デ・アラルコン
振付/レオニード・マシーン
美術/パブロ・ピカソ
出演/ホセ・マルティネス(粉屋)、マリー=アニェス・ジロー(粉屋の女房)、ファブリス・ブルジョワ(代官) ほか
《ペトルーシュカ》(1911年初演)
音楽/イーゴリ・ストラヴィンスキー
台本/イーゴリ・ストラヴィンスキー、アレクサンドル・ベヌア
振付/ミハイル・フォーキン
美術/アレクサンドル・ベヌア
出演/バンジャマン・ペッシュ(ペトルーシュカ)、クレールマリー・オスタ(バレリーナ)、ヤン・ブリダール(ムーア人)、ステファーヌ・ファヴォラン(魔術師) ほか
ヴェロ・ペーン(Vello Pähn)指揮
パリ国立オペラ座管弦楽団
2009年12月22日、パリ、オペラ座(パレ・ガルニエ)収録
どれも極め付きの名作だが、この記念公演では初演時の振付や装置・舞台をできるだけ忠実に再現しているので、ディアギレフとそのバレエ団が何を目指し、どんな舞台を創り上げたのかが手に取るようにわかる。
とりわけ、五感に働きかける「総合芸術」という観点から、小生は《三角帽子》の水際立った舞台に圧倒される思いでスクリーンを見つめた。デ・ファリャ+ピカソのスペイン勢が醸し出す鮮やかなローカルカラーに酔いしれた。ピカソが創り上げた装置と衣裳はまさに天才的というほかない。
ロシア起源のバレエ団からこのようにスペインの薫り高い作品が生まれたところに、ディアギレフのコズモポリタンな感覚の冴え、才能を適材適所、自在に組み合わせる能力を思い知らされ、深く溜息をついた次第である。こんな凄い人物は二度と出現しないだろう。
追記)
ディアギレフ誕生日の今日だけの一日限定上映・・・のはずだったのですが、どうやら吉祥寺オデヲンでの追加上映が決まったようです。4月8日(土)~14日(金)。見逃した方はこちらでぜひ!(→映画館HP)