普羅哥菲耶夫的《彼得與狼》是作曲家特別為兒童譜寫的一部交響童話,完成於1936年春天,同年5月2日在莫斯科首演。作曲講述一個叫彼得的小男孩智鬥大灰狼的故事。作曲家用交響樂團中的常用樂器來刻劃人物與動物的性格、動作及神態,音樂形式新穎活潑,旋律通俗易懂。譬如,長笛的音色好比小鳥歡快的啾鳴;雙簧管模仿呱呱而叫的小鴨子;單簧管代表躡手躡腳的猫;圓號就是壞蛋大灰狼;巴松管則代表爺爺低沉的聲音,而我們的主人公彼得小朋友,則是由小提琴、中提琴以及大提琴這樣的弦樂器合奏扮演的;木管樂器代表勇敢的獵人,定音鼓就是獵人的步槍。
這部交響曲雖以兒童為對象,卻也能激發成年人產生濃厚興趣,由作曲家普羅哥菲耶夫本人所構思的情節和撰寫的旁白,生動活潑而又有深刻的教育意義,這張專輯特別邀請國際著名作曲家譚盾及國際影星趙薇擔任國語旁白,管弦樂部分由已故大師克勞迪奧·阿巴多執棒歐洲室内樂團演奏並錄製。先日のエントリーが真似事の「なんちゃって」中国語だったのに対し、こちらは本場の正式な中文である。届いたばかりのCDのライナーノーツを丸ごと書き写したのだが、なにしろ旧来の「繁体字」であるから、「懂」だの「躡」だの「邀」だの、初めて目にする、意味も読みも皆目わからぬ複雑怪奇な漢字が続出して四苦八苦。これだけの文章を転写入力するのに一時間半も費やしてしまったのだ。ふう。
"交響童話 彼得與狼"
普羅哥菲耶夫
交響童話《彼得與狼》
旁白:趙薇/譚盾
歐洲室内樂團
克勞迪奧·阿巴多
1988年11月,維也納音樂廳,大交響音樂廳(管弦樂)
2014年1月,上海三友録音棚(旁白)
Deutsche Grammophon (香港) 479 5029 (2015)
→アルバム・カヴァーなんのことはない、これは1990年前後に各国語のナレーション入りで相次いで出たクラウディオ・アッバード指揮によるプロコフィエフの《ピーターと狼》の中国語版なのである。因みに中国語版ウィキペディア(維基百科)では「普羅高菲夫」(台湾繁体)乃至「普罗科菲耶夫」(中国簡体)表記だが、ほかに「浦羅哥菲夫」なる表記も存在し、本CDでは「普羅哥菲耶夫」と記している。
周知のとおり、このディスクは英語版(
→これ)はスティング、仏語版(
→これ)はシャルル・アズナヴール、スペイン語版(
→これ)はホセ・カレーラス、わが日本語版(
→これ)は坂東玉三郎(!)のナレーション付き、鳴り物入りで各国ほぼ同時に発売された。これらは当然わが手許にある。
中国語版《彼得與狼》がユニークなのは、語り手が男女二人いることだ。
男性は
譚盾(タン・ドゥン)、云わずと知れた中国楽壇を牽引する「國際著名作曲家」である。女性のほうは
趙薇(簡体では
赵薇)、またの名を
ヴィッキー・チャオという。小生はとんと不案内だが、今や中国を代表する「國際影星」すなわち国際的な映画スター。歴史物の大作《レッドクリフ(赤壁)》で重要な役どころを得たほか、《マイ・ドリーム・ガール(炮制女朋友)》など主演作も枚挙に暇がなく、中井貴一や本木雅弘との共演作もあるという。歌手としても活躍し、映画監督にも挑戦している由。知らぬは小生のみか。
両者は代わる代わるにストーリーを物語る。例えばクライマックスはこんな具合。
譚盾 彼得對小鳥說:「你飛下來,在大灰狼的頭頂盤旋,但要小心別讓他抓住你!」
趙薇 小鳥的翅膀差點兒碰至大灰狼的頭,大灰狼一次又一次地想抓住小鳥。他發怒了!譚盾 小鳥把大灰狼搞得心煩意亂! 啊哈! 狼多麼想抓住他啊!
趙薇 但小鳥比狼聰明,大灰狼根本拿他沒辨法!
この二人の掛け合いが実にいい。実際の年齢差は父娘ほどなのだが、なんというか、爺さんと孫娘がこもごも説き進めるといった塩梅なのだ(
→録音スタジオでのご両人)。呼吸もピタリ合い、語り口も頗る自然である。数ある《ピーターと狼》の録音中でも上等な部類に入るだろう。
それにしても世界的ベストセラーとして話題になったこの録音が、登場から四半世紀を経てやっと中国語版になったのは、いかにも遅きに失した感が否めない。その間に指揮者クラウディオ・アッバードは鬼籍に入ってしまった。
ついでに付言すると、他国語版のCDには必ずフィルアップされていた《古典交響曲》《軍隊行進曲》《ヘブライ主題による序曲》の三曲はこの香港製CDでは何故かオミットされてしまっている。
もうひとつ、不思議でならないのは、ナレーション部分は上海で録音され、香港で製盤・印刷されたにもかかわらず、ジャケット表面からライナーノーツに至るまで、文字表記がすべて繁体でなされていること。香港では今でも繁体が一般的なのは承知しているが、これでは中国本土では流通できないのではなかろうか?
この点についてちょっとネット上を渉猟したら、疑問はたちどころに氷解した。本CDはこれとは別に、中国本土向けに簡体字によるエディションも並行して発売されていた(
→これ)。標題は「彼得与狼」、副題も「交响童話」、ナレーター名が「赵薇」と表記されるのはそのためだ。
小生が取り寄せた繁体字版によるディスクは米国の業者から届いたものだ。大半の在米華僑たちにとっては繁体字版のほうが好都合だからに違いない。香港や台湾で手に入るのもこれと同じだろう。
えっ? どんな具合だか、聴いてみたいって? 宜しかろう、冒頭のほんの一分足らずだが YouTubeにあるので、お裾分けしよう(
→これ)。因みに、譚盾が連呼する「小燕子」とは趙薇嬢の愛称にほかならない。
譚盾 嗨! 小朋友們! 你們來,今天我們要跟你們講一個故事。故事説的是一個叫彼得的小朋友智鬥大灰狼。
趙薇 這個故事非常非常的吸引我,因為它是用音樂來講的哦!
譚盾 故事裏面的亊每一個角色是都用交響樂團裏面不同的樂器來扮演,比如長笛是小鳥 - 小燕子‥‥‥小燕子!趙薇 嘩! 像真的小燕子一樣! 然後呢,雙簧管的聲音代表呱呱叫的小鴨子。どうです? 全曲が聴きたくなるでしょう?