勤労感謝の日。とはいえ勤労とも感謝とも無縁な小生には普段と変わらない。散歩ついでに昼食の食材を仕入れる。家人は田舎で貰った柿を漬物にした。
今日もまた一昨日に劣らず寒々しい天候だ。一日ごとに寒暖が繰り返され、そうこうしているうち冬が次第に忍び寄る。こんな日には音楽で暖をとろう。本日入荷したばかりのCDを聴く。
"Rachmaninoff: Paganini Rhapsody - Franck / Fleisher - Szell"
ラフマニノフ:
パガニーニの主題による狂詩曲*
フランク:
交響変奏曲**
ディーリアス:
歌劇《イルメリン》前奏曲***
ピアノ/リオン・フライシャー* **
ジョージ・セル指揮
クリーヴランド管弦楽団1956年10月26日*、28日** ***、クリーヴランド、セヴェランス・ホール
Sony 88725459972-02 [Epic LC3330] (1957/2013)
→アルバム・カヴァーLPでも架蔵するが、CDで元どおり覆刻されたので思わずゲット。フライシャーはグラフマンと並んでジョージ・セルご用達のピアニスト。とりたてて個性的でないが、堅実な音楽性の持ち主。ラフマニノフもフランクもセルにはおよそ不似合いの作曲家で、後にも先にも録音はこれだけ、フライシャーに付き合った形だ。生真面目だが崇高なフランクが見事な仕上がり。重要なのは同セッションで埋草的に収録されたディーリアス。これもセル唯一の稀少な録音だ。モノーラルなのが惜しい。
"Hindemith: The Four Temperaments, etc./ Fleisher - Goldberg"
ヒンデミット:
四つの気質*
五つの小品 ~教育音楽 作品44 第4
葬送音楽**
ピアノ/リオン・フライシャー*
ヴィオラ/パウル・ゴトヴィン**
シモン・ゴルトベルク指揮
オランダ室内管弦楽団1956年、アムステルダム
Sony 88725459972-04 [Epic LC3356] (1957/2013)
→アルバム・カヴァーシモン・ゴルトベルクは戦前ヒンデミットと弦楽三重奏団を組んだ盟友同士。だからこのヒンデミット・アルバムは音楽史的に貴重な記録である。《四つの気質》の独奏者がフライシャーだった関係で、このたび初めてCD化され、オリジナルLPが丸ごと覆刻されたのは喜ばしい。S・ニール・フジタの手になる文字デザインもアルバム・カヴァー史に残る出来映え、まるでモダン・ジャズのレコードのようだ。
"Brahms: Symphony No. 2 - San Francisco SO - Monteux"
ブラームス:
交響曲 第二番
ピエール・モントゥー指揮
サン・フランシスコ交響楽団1951年4月4日、サン・フランシスコ、カリフォルニア・ホール
Sony 88843073482-16 [RCA LM 1173] (1951/2014)
→アルバム・カヴァークールで冷徹なゴルトベルク指揮のヒンデミットで部屋の空気がすっかり冷えきったところで、温厚で情感たっぷりモントゥーのブラームスで温まろう。四種類ある彼のブラームス「第二」のうち二番目の録音。音質こそ冴えないが(勿論モノーラル収録)、覇気に満ちた素晴らしい演奏だ。誇張のないイン・テンポのブラームス、自然な歌心と解放感に満ち満ちている。サン・フランシスコのオーケストラは音色こそ冴えないが、さすがに当時の手兵とあって指揮者の音楽を呼吸している。