年明け早々にも話題にしたと記憶するが、今年はアレクサンドル・グラズノーフの生誕百五十周年である。その割に拙ブログでは彼の音楽を取り上げる機会がないまま半年が過ぎてしまった。
たまたま点けたラヂオでそのグラズノーフ特集が流れてきた。「クラシックの迷宮」という片山杜秀氏の持ち時間らしく、副題はずばり「グラズノフ生誕150年」。ただし名うての曲者の番組だから選曲も紹介も一筋縄ではいかない。
グラズノーフ:
■ 君が代 ~連合国国歌によるパラフレーズ 作品96
西本智実指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
■ マズルカ・オベレク ニ長調 (終結部のみ)
ヴァイオリン/クロエ・ハンスリップ
アレクサンドル・ヴェジェルニコフ指揮
スイス・イタリア語放送管弦楽団
■ サーシャの名による組曲 作品2 から アレグロ・エネルジコ
ピアノ/タチヤーナ・フラノワ
■ 交響詩《ステンカ・ラージン》 作品13 から 終結部
エドワルド・シャフナザリャン指揮
ソヴィエト国立交響楽団
■ 勝利の行進曲 作品40
ヴラジーミル・ジーワ指揮
モスクワ交響楽団
■ 運命の歌 作品84 から 終結部
イーゴリ・ゴロフチン指揮
モスクワ交響楽団
■ 前奏曲とフーガ ホ短調 (1926) から
ピアノ/スティーヴン・クーンブズ
■ バレエ《四季》 作品67 から 秋の冒頭
アレクサンドル・グラズノーフ指揮
臨時編成の管弦楽団(ロンドン、1929)
■ サクソフォーン協奏曲 変ホ長調 作品109 から 終結部
サクソフォーン/レフ・ミハイロフ
アレクサンドル・コルネイエフ指揮
モスクワ放送交響楽団ソリスト・アンサンブル
■ 幻想曲 作品110 から 後半部分
オルガン/アレクサンドル・フィセイスキー
滅多に耳にしない曲が次々かかる今どき珍しい番組だが、グラズノーフの本領たる交響曲やバレエ音楽を意図的に排除し、「君が代」編曲など知られざる周縁曲目を援用し、ひたすら搦め手から攻めるアプローチは片山氏ならでは。話の内容はそれなりに平仄が合うものの、いつもながら単純化と図式化が過ぎる気がする。生涯を一時間で早口語りするので是非もないのだが、最初から結論を決めてかかり、ストーリーに沿うように楽曲を当て嵌める誘導尋問めいた展開なきにしもあらず。自分の名前を音名モティーフとして作品に潜ませたショスタコーヴィチは恩師グラズノーフの顰みに倣ったのではないか、という指摘はちょっと面白いが、本当のところはどうだったのか。面白く判りやすい話は疑ってかかるべし。