昼にグレインジャーを愉しみ、夕食後バルトークを通しで聴いたらもう飽和状態。体内が音楽でイッパイイッパイになった。これ以上は溢れ出てしまう。
それなのに今夜はなんだか眠くならない。かくなるうえは睡眠導入剤としてCDをもう一枚。ひたすら渋く内省的なマックス・レーガーはどうだろう。
"Max Reger: The complete Works for Clarinet and Piano"
レーガー:
クラリネット・ソナタ 第三番 変ロ長調 作品107*
アルバムの一葉 変ホ長調**
クラリネット・ソナタ 第一番 変イ長調 作品49-1***
ロマンス ト長調**
クラリネット・ソナタ 第二番 嬰ヘ短調 作品49-2****
タランテッラ ト短調**
クラリネット/イープ・ハウスマン
ピアノ/ニーナ・ティッチマン1998年6月***、7月*、10月****、1999年3月**、
バーデン=バーデン、南西ドイツ放送ハンス・ロスバウト・スタジオ
Hänssler CD 93.035 (2001)
→アルバム・カヴァーブラームスに複雑な転調を加味し、晦渋さをいや増したようなマックス・レーガーの室内楽だが、時として無性に聴きたくなる。今の季節がまさにそうだ。
ソナタ全三曲をはじめレーガーがクラリネットとピアノ用に書いた全作品を集めた重宝な一枚。カール・ライスターにも同種のアルバムがあったが、そこでは未収録だった小品「ロマンス」まで聴けるのが嬉しい。六年ほど前に手に入れ、そのとき簡単な紹介をしたためて以来の、久方ぶりの登場である。
ハウスマンという奏者については寡聞にして全く知らなかったが、ドイツ風の滋味豊かな音色をもつ名手であるらしく、レーガーを味わうのになんの不足もない。晩秋の夜長、心静かに愉しむべきアルバム。では、おやすみなさい。