いやはや無知蒙昧とは悲しむべきことだ。昨夜ヴェランダから仰ぎ見た月は満月そのものだったのだと翌日の今になって知った。どこにも欠けたところがないように見えたのは蓋し当然だったのである。
それでは一昨日の「中秋の名月」とはなんだったのだ、ということになろう。「月探査情報ステーション」というサイトから解説文を引く。
中秋の名月は、別名「十五夜」というように、旧暦で8月15日の夜になります。このことからわかるように、「中秋の名月」の日は、旧暦に基づいて決まってしまいます。
まず、新月や満月ということについて考えてみましょう。新月や満月というのはそれぞれ、「月が地球と太陽のちょうど間に来た瞬間」、「月が地球からみて太陽の反対側に来た瞬間」をそれぞれ意味します。つまり、いずれもある時刻のことを指しているという点に注意して下さい。 さて、旧暦の1ヶ月は、月の満ち欠けの周期ですから、平均すると29.4日となっています。しかし、暦は1日単位で数えますから、「.4日」ということはありません。従って、旧暦の1ヶ月は29日か30日ということになります。つまり、新月から満月になるための時間は、29.4の半分、つまり14.7日ということになります。

上の図をみて下さい。矢印は新月から満月の間の期間、すなわち14.7日です。新月の時刻が仮に旧暦ついたちの昼間ですと、図のように、満月になるのは旧暦の16日になってしまいます。
さらに、実際には月の運動は一定ではありません。月は地球のまわりを回っていますが、この軌道が完全な円ではないのです。満月が近づいたときに地球から遠くなっていると、月の運動は遅くなり、満月になるのに時間がかかってしまいます。逆に地球に近いところを月が回っていると、月の運動は速くなります。そのため、満月になるまでの時間が短くなります。
以上のような理由から、満月と暦の上での「中秋の名月」に1〜2日のずれが生じることがあるのです。
う~ん、なんだかわかったような、わからないような歯切れの悪い説明であるが、国立天文台のHPを読むと、もっと複雑な事実関係が書いてあって、さらに頭が混乱してくる。要するに旧暦でいう「中秋の名月」の日と実際に満月が見える日とは必ずしも合致しないということらしい。
実際ここ十年間の両者の関係を記すと、こうなる。
年 暦上の「中秋の名月」 実際の望(=満月)の瞬間
2005 9月18日 9月18日11時1分
2006 10月6日 10月7日12時13分
2007 9月25日 9月27日4時45分
2008 9月14日 9月15日18時13分
2009 10月3日 10月4日15時10分
2010 9月22日 9月23日18時17分
2011 9月12日 9月12日18時27分
2012 9月30日 9月30日12時19分
2013 9月19日 9月19日20時13分
2014 9月8日 9月9日10時38分
なるほど確かに「中秋の名月」と実際の満月の日付とが一日、二日ずれている(実際の満月が遅れる)年が半分ほどある。昨年のように両者がピタリ合致するほうがむしろ少数派かもしれない。因みに、来年から2020年までは合致しない年が連続するのだという。
十六夜なのに満月。なんだか今もまだ釈然としない気持ちでいる。