今日は上京の用事があったので新宿にちょっと立ち寄る。紀伊國屋書店の四階で科学書を物色するが、ここの書棚はどういう訳かひどく探しにくく、お目当ての書目に辿りつくのに手間がかかる。今は亡きジュンク堂だとそういうことはなかったのだが。そのあと七階の映画書コーナーで目を惹いた大判の『
今野雄二 映画批評集成』をつい手にしてしまう。「これを買わないでどうする!」の天の聲に従ったまで。まだ時間があったので隣のビルの八階で久しぶりに中古CDを漁る。ミンコフスキ指揮によるモリエール=シャルパンティエの音楽芝居《
病は気から》全幕、ロジャー・ノリントン指揮のスメタナ「わが祖国」抜粋、ギヤ・カンチェリが手がけた映画音楽サントラ集(《
不思議惑星キン・ザ・ザ》を含む)、
ヴラジーミル・イリイチ・レーニン演説録音集(!)などなど、誰も見向きもしない奇怪なラインナップ。小生はやはり相当な変人なのだろう。そこから地下へ降りて副都心線で「西早稲田」へ。理工学部の教室で松下貢さんの講演「
キリンの斑論争、寺田寅彦と複雑系科学」を興味深く拝聴。ただし後半に論が近年の「複雑系科学」に及んだ途端に話の筋がサッパリ判らなくなる。理数系の大学講演はやはり敷居が高すぎたのだろう。地下鉄とJRを三本乗り継ぎ家路に就く間にその松下さんの編著『キリンの斑論争と寺田寅彦』(岩波科学ライブラリー)を読んで混乱した頭を整理する。最寄りの駅を降りた途端ポツリと雨が降り出したので路線バスで帰宅。七時半。