都心とは数日位タイムラグがあるので満開とはいかないが、近所の染井吉野も五分咲きには達し、今を盛りと咲き競っている。午前中の風も吹きやんで、今日はこの界隈でも絶好の花見日和。川沿いの公園の芝地には家族連れがあちこちに敷物をば拡げ三々五々ささやかな宴を催していた。
そうこうするうちに三月も終わろうとしている。年度が改まり税率が変わるからといって、隠居の身には特段の変化はないのだが、それでも世間の気忙しさがそこはかとなく感じられる。こういう時節こそ腰を据えて読書に打ち込みたいものだ。
逸る心を落ち着かせる鎮静剤。久しぶりに弦楽合奏のための英国音楽を。
"English String Music"
ホルスト:
セント・ポール組曲*
エルガー:
セレナード
ウォーロック:
カプリオール組曲
セレナード(フレデリック・ディーリアス六十歳の誕生日に)
エルガー:
序奏とアレグロ**
デイミアン・ファルコフスキ指揮
ブリタニア室内管弦楽団
ヴァイオリン/アンソニー・マーウッド*
ヴァイオリン/マイケル・デイヴィス、ヨーゼフ・フレーリヒ、ヴィオラ/スティーヴン・バーナード、チェロ/アントニオ・リジー**1991年、ロンドン、セント・ジョンズ、スミス・スクエア
English Recording Company ERC 5001 (1991)
指揮者(Damian Falkowski)も楽団(Britannia Chamber Orchestra)も氏素性が知れぬばかりか、いくら調べてもネット上に情報が全く見当たらない。そもそも当盤をいつどこで手に入れたのかも記憶の彼方だ。にもかかわらず、選曲は申し分なく、演奏内容も録音(技師はTony Faulkner)も非の打ちどころのない出来。鍾愛のウォーロック「セレナード」では哀切の調べが余韻嫋々と胸に沁み、エルガー「序奏とアレグロ」ではきびきびとした展開も自然なアゴーギクも甚だ見事。声を大にして推奨したいが、手に入れる方策すら立たない謎のような一枚。