追い込みの仕事が二本重なってキツいのなんの。老骨に鞭打つという言葉の意味をひしひし実感しつつ夜を明かしたら嵐は通過し、月は改まっている。一段落したら外出してゆったり映画を観たいものだ。
先日たまたま聴いたブラームスが滋味掬すべき秀演だったのに気をよくして、同じクリップス翁の珍しいディスクをもう一枚。
"Mozart: Ouvertures"
モーツァルト:
「フィガロの結婚」序曲
「ドン・ジョヴァンニ」序曲
「劇場支配人」序曲
「魔笛」序曲
「後宮からの誘拐」序曲
「皇帝ティートの慈悲」序曲
「コジ・ファン・トゥッテ」序曲
「偽の女庭師」序曲
「イドメネオ」序曲
ヨーゼフ・クリップス指揮
チューリヒ・トーンハレ管弦楽団
1960年、チューリヒ、トーンハレ
Adès 13.225-2 (1960/ 1988)
なんという素晴しさだ。序曲を聴いているだけで弾けるような快活さと人懐っこい柔和さとがひとつに融け合い、まるで劇場に身を置いているような夢心地になる。そのまま幕が開いてオペラが始まりそうな幸福な臨場感に包まれる。クリップスの指揮はさながら魔法なのだ。