九月の終わりに今一度シュトラウスの「四つの最後の歌」をと某国の人気ソプラノ歌手が録音した新盤で聴き出してしばし絶句、嗚呼と嘆息をつく。表面をただ取り繕うのに終始し、まるきり表現の体をなさないのだ。この段階でこの歌曲集に挑むこと自体に無理がある。伴奏オーケストラもムード・ミュージックの域を出ない。
外は凄まじい嵐。海浜だから何物にも遮られず容赦なく吹き募る。ならばこちらも方針を変更し、荒海と嵐の音楽を。
ブリテン:
交響組曲「グロリアーナ」
四つの海の間奏曲とパッサカリア ~「ピーター・グライムズ」
シンフォニア・ダ・レクイエム
ステュアート・ベッドフォード指揮
ロンドン交響楽団
1989年、ロンドン、アビー・ロード・スタジオ
Collins 10192 (1992)