やっと心穏やかにドビュッシーを聴くことのできる秋の宵になったようだ。夏のうちに秘かに入手しておいたディスクの封を切る。
"Debussy: Clair de lune"
ドビュッシー:
01. 星々の夜
02. パントマイム
03. 月の光
04. ピエロ
05. あらわれ (顕現)
06. 秘やかに
07. 雅なる宴
08. ロマンス (たち昇る懊悩の魂)
09. 鐘
10. 中国風ロンデル
11. 波・棕櫚・砂 (伴奏/ピアノとハープ)*
12. エアリエルのロマンス
13. 哀惜
14. 海に落ちた水夫 [世界初録音]
15. 死化粧
16. 弓 [世界初録音]
17. ロマンス [世界初録音]
18. 妖精たち [世界初録音]
19. 選ばれし乙女 (ソプラノ、メゾソプラノ、合唱とピアノのための)**
ソプラノ/ナタリー・ドセ
ピアノ/フィリップ・カサール
ハープ/カトリーヌ・ミシェル*
メゾソプラノ/カリーヌ・デエー**
アンリ・シャレ指揮 パリ青年合唱団**
2011年11月12~13、22~25日、パリ、サル・コロンヌ
Virgin 730768 2 (2012)
若きドビュッシーの熱烈な思慕の対象だった
ヴァニエ夫人(マリー=ブランシュ・ヴァニエ)の名を初めて知ったのは平島正郎さんの評伝(1966)の記述からだったと思う。だとするともう四十年以上も前になるのだが、彼女のために彼が作曲した歌曲が日の目を見たのは遙か後年になってからだ。私的な作品だからだろう、公刊されずに手稿譜のまま個人コレクションに埋もれてしまい、その大半は近年ようやく出版されるに至ったものだ(Salabert刊、1980)。
それらの歌曲を実際に音として耳にしたのはもっと遅く、アンヌ=マリー・ロッドがオランダで録音した二枚の「ドビュッシー歌曲集」(Etcetera, 1987)が最初だったと記憶する。そのあとドーン・アップショーが「ヴァニエ歌曲集」として纏まった形で録音(Sony, 1997)したことでようやく人口に膾炙した。
(まだ聴き出し)