先般の「プロム16」は凡庸な出来に終始した。気の抜けたようなドビュッシー。やはり曲目編成の妙を発揮するには代役指揮者では役不足だったということだろう。
かくなるうえはドビュッシーの神髄に迫るような奏者を召喚するに如くはない。
《知られざるドビュッシー Debussy inconnu ~ピアノ作品全集 V》
ドビュッシー:
忘れられた映像
■ 緩慢に
■ サラバンドで
■ 「もう森へなんか行かない」のさまざまな貌
月下の謁見台(自筆異稿)
六つの古代碑銘(独奏版)
組み合わされたアルペッジョのために(異稿)
燠火に照らされた夕べ(新発見)*
バレエ「玩具箱」(朗読附)
ピアノ/中井正子
2008年3月28日*、2009年3月24~26日、彩の国さいたま芸術劇場小ホール
コジマ録音 ALM ALCD-7136 (2009)
一昨日、猛暑のなか反原発集会に赴く直前に心を鎮静化すべく手にしたディスク。前々からこの奏者によるピアノ曲全集がずっと気に懸かっていた。さんざん待った末やっと中古で見つけたのは最も注目に値する一枚だ。なにしろ選曲が凝りに凝って秀逸。わざわざ秘曲ばかり拾遺したかにみえて、その実ドビュッシーの奥之院に否応なく導く懇切な道しるべになっている処が凄い。