蒸し暑い日だが以前の約束どおり伯父・伯母夫妻と共に世田谷美術館で開催中の「
村山知義の宇宙」展を観に赴く。もう葉山で二度も鑑賞したが伯父(正確には母の従弟)から招待券を頂戴したので、われら夫婦も同行することにした。なんでも伯父の高校時代の恩師(内田昇三氏)が村山の無二の親友(同級生同士)だったのだそうで、本展にはその肖像画も出品されている。
内容は葉山とほぼ同一だろうが、会場の床面積の関係からか、狭隘な空間に展示が混み合って余裕を欠く。セクション毎の部屋割もなんだかしっくり来ない。とはいうものの、個々の作品の醸す磁場はそうした瑕疵を忘れさすに足る。
今回は特に内田氏の旧蔵作品(最近ここ世田谷美術館に寄贈された由)に注目しつつ鑑賞。初期のコラージュ作品など、廃棄されずによくぞ残ったものだと嘆息つきつつ、しみじみ眺める。
拙コレクションから出品した赤坂溜池・葵館のパンフや稀少な「少年戰旗」、戦後間もない雑誌「子供の廣場」などに対し、「こういうものをよくぞ集めたものだ」と讃められる。伯父は長く古本屋を営んでいるので、収集の苦労はよくわかるのだろう。
小生よりもきっかり二十歳上の伯父・伯母は足元が少々ふらつくし疲れやすい。会場には椅子が殆どないのも老ファンには辛い展示である。こういうところも美術館はもっと配慮すべきだろう。いずれ誰しも老人になるのだ。
それにしてもこの美術館の対応は不親切だ。出品作品リストが用意してないばかりか、会期中の展示替について質問しても即答できぬまま。来館者の熱意を甘く見るといつか痛い目をみることになるだろう。
この世田谷巡回展の白眉は、晩年の絵本『
しんせつなともだち』(福音館「こどものとも」)の原画全点だろう(葉山には未出品)。いつもの村山とは画風が大きく異なるが(その理由もわかっている)、緻密な仕事振りは変わらない。飽かず眺む。
一時間半ほどじっくり鑑賞した後は美術館の仏蘭西食堂で昼食。いつも混雑する店だが待たずに入れたのは幸運だった。やや値が張るが味はまずまず。
(まだ書き出し)