厄介な外国語との格闘もやっと目指す終着地が見えてきた。梅雨明けには万事終了してスッキリ心も晴れるだろう。あと僅かの辛抱だ。今ちょっと一息ついて聴くのはドビュッシーの編曲物。
"Claude Debussy: Orchestral Works -5"
ドビュッシー:
バレエ音楽「玩具箱」(ドビュッシー&アンドレ・カプレ編)*
六つの古代碑銘(エルネスト・アンセルメ編)*
パゴダ ~「版画」(アンドレ・カプレ編)**
グラナダの夕暮 ~「版画」(アンリ・ビュセール編)*
歓びの島(ベルナルディーノ・モリナーリ編)*
バッカスの凱旋 ~「森のディアナ」(マリユス=フランソワ・ガイヤール補筆・編)***
ジュン・メルクル指揮
リヨン国立管弦楽団
2009年3月27、28日**、2010年1月11~14日*、2月24~27日***、
リヨン、オーディトリオム
Naxos 8.572568 (2011)
準メルクル指揮のドビュッシーを聴くのは初めてだが滅法いい。とりわけ感心したのは「
玩具箱 la boîte à joujoux」の瑞々しい自在さ。クリュイタンス、アンセルメ、マルティノンの昔からこの曲を聴くたびに散漫さばかり感じてばかりいたのに、この生気に満ちた敏捷な音楽はどうだ。
アンセルメ編曲の「
古代碑銘 Six épigraphes antiques」も、かつては編曲者自身の指揮した録音(三種類あった)しか存在しなかったが、今はいろいろ聴き較べられる。このメルクルの演奏はそのなかでも秀逸な出来だろう。
その他の曲はどれもドビュッシーと近しい人物の手になる正統的な版らしいが、そもそも編曲自体あまり感心しない。「パゴダ」ならパーシー・グレインジャー編曲版を聴きたかった。初出の若書き「バッカスの凱旋」はたいそう珍しい聴きもの。