旅行者は無事帰還。日光土産「栃乃実柚餅子(とちのみゆべし)」を夕食後に賞味。旅疲れからか早々と床に就いた家人を尻目にひっそり深夜の一人音楽会。引き続きフランスの Lyrinx 盤を聴こう。外はまだ雨が降り止まない。
"Beethoven: Concertos pour piano 1 & 3"
ベートーヴェン:
ピアノ協奏曲 第一、第三番
ピアノ/ジャン=クロード・ペヌティエ
セルジュ・ボド指揮
モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団
1998年6月23~27日、モンテカルロ歌劇場、サル・ガルニエ
Lyrinx LYR 186 (1999)
"Mozart: Les deux derniers concertos Pennetier|Lethiec|Kantorow"
モーツァルト:
ピアノ協奏曲 第二十七番*
クラリネット協奏曲**
ピアノ/ジャン=クロード・ペヌティエ*
クラリネット/ミシェル・ルティーク**
ジャン=ジャック・カントロフ指揮
オーヴェルニュ室内管弦楽団
1990年11月21、22日、サン=ジュネス=シャンパネル、協会会館ホール
Lyrinx LYR 107 (1991/99)
専らCDばかりで実演に接した機会は僅かしかないが、その都度
ジャン=クロード・ペヌティエの底知れぬ音楽性には敬服してしまう。もう十年以上も前になるが、パリの運河に浮かぶ平底船の極小歌劇場「ペニッシュ・オペラ」で間近に聴いたムソルグスキーの歌曲伴奏には震えがきた。つい先日も思いがけずスクリャービンの秀演に息を呑んだばかりだ。
いやはや、夢うつつの美しさだ。ピアノに疎い小生にもその位はわかる。目のつんだ透明な音の粒立ちがじわじわ心の襞に分け入るような按配なのだ。惜しむらくは指揮者が常套的で同じ高みに届かないこと。ボドは実直に過ぎるし、カントロフも閃きを欠く。独奏の邪魔をしないだけの伴奏に留まっているのが惜しい。
このまま就眠するのは悔しいので若き日のペヌティエを最後に。
"Mozart: Concertos pour piano no 22 et 23"
モーツァルト:
ピアノ協奏曲 第二十三、二十二番
ピアノ/ジャン=クロード・ペヌティエ
カール・リステンパルト指揮
ザール室内管弦楽団
1967年4月2、3日、フラウラウテルン(ザール)
Universal Accord 476 9009 (1967/2006)
弱冠二十四の新人が最晩年の巨匠リステンパルト(この年末に旅先で急逝)と共演した記録が遺るのは奇蹟というほかなかろう。筆舌に尽くせぬ至高の演奏。
この「夢の協演」は元のLP(Le Club Français du Disque)は今や稀覯盤。同社音源を引き継いだ Accord が大手ユニヴァーサルに身売りした際、廉価CDとして「叩き売り」同様の形で久し振りに再発された。今宵聴くのもそのディスクなのだが、早くも品切状態と化した模様。こういう演奏こそ常時入手可能だといいのだが。最早そういう悠長な時代ぢゃないのだろう。見つけたら是非ともお試しあれ。