家人は友人と日光に旅行とかで留守にしている。なので好機到来とばかりに日中は心おきなくCDを続けざまに堪能。久しぶりにストラヴィンスキーのバレエ音楽を大音量で聴いた。いつもなら「喧しい、いい加減になさい!」と叱声が飛ぶところだ。とはいうものの、今は深夜なので心静かに室内楽を嗜もう。これまた愉しからずや。
"Brahms: Sonates pour violon et piano"
ブラームス:
ヴァイオリン・ソナタ 第一、第二、第三番
ヴァイオリン/テディ・パラヴラミ
ピアノ/ムーザ・ルバツキーテ
1995年12月1~3日、マルセイユ、サル・ブランシエール
Lyrinx LYR 161 (1997)
夜更けて聴くのにブラームスは最適だろう。先日たまたまスカルラッティのソナタ集を聴いたリトアニアの閨秀ピアニスト Mûza Rubackyté がアルバニアの若手(当時)ヴァイオリニスト Tedi Paravrami と協演した盤。ルバツキーテの奥行のある音色はむしろブラームスに相応しかろう。あっさり淡泊なパラヴラミをしっかり下支えする。なかなか好もしい演奏だ。
"Brahms: Quatuors avec piano"
ブラームス:
ピアノ四重奏曲 第一、第三、第二番*
ピアノ/ジャン=クロード・ペヌティエ
ヴァイオリン/ジャン=ジャック・カントロフ
ヴィオラ/ブリュノ・パスキエ
チェロ/トルルス・モルク
1995年12月20~22日、1996年8月26~31日*、
マルセイユ、サル・ブランシエール
Lyrinx LYR 165/166 (1997)
いよいよ余勢を駆って深夜らしく渋好みの世界に突入だ。おしなべて室内楽には疎いものだからブラームスのピアノ四重奏曲など滅多に聴く機会はない。まして三作続けざまに耳にするのは初体験ではなかろうか。
実に充実した音楽だと今にして悟る。他に比較する盤が手許にないので当ディスクの質を吟味できないが、仏人中心のアンサンブルはバランスのとれた堅実な演奏を披露する。Lyrinx 盤は録音もデザインも秀逸。手放さなかったのは正解だった。
今夜の〆はやっぱりブラームス。
"Brahms: Sonates pour violoncelle et piano"
ブラームス:
チェロ・ソナタ 第一、第二番
チェロ/ソニア・ヴィーダー=アサートン
ピアノ/カトリーヌ・コラール
1990年12月21~23日、マルセイユ、国立音楽院
Lyrinx LYR 109 (1991)
殆ど話題になった気配はないが、これは素晴らしい演奏だ。今は一家をなす実力派 Sonia Wieder-Atherton も当時はまだ二十代、デビュー間もない時期だと思うが、深々した音色、朗々たる歌、臆するところのないボウイング、すでに大家の風格がある。協演の Catherine Collard はこのとき四十三歳。ニ年後には病歿してしまうから晩年ということになろう。控え目だが思慮深いピアノはちょっと比類ないものだ。今のソニア嬢には不満なのか、公式HPのディスコグラフィからは省かれた録音だが、忘却するにはいかにも惜しい秀演だろう。