今日ものんびり花見。雲ひとつない青天に誘われて家人とともに新宿御苑に。ここは名にし負う桜の名所だ。満開に近い桜樹がそこここに咲き競い、夢うつつの気分になる。まだ十時を少し回ったところなのに、もうかなりの人々が屯している。ただし広大な敷地なので、思い思いに観桜を愉しむことができる。
たっぷり一時半ほどかけ桜を鑑賞。途中から満腹状態になり、ただ呆けたようにそぞろ歩く。茶店で団子と折詰弁当と飲物を入手。ただしアルコールは御法度だ。
そのあと新宿まで歩き、家人の誘いで紀伊國屋サザンシアターにて観劇。劇団民藝による 『
マギーの博物館』というカナダの芝居である(シェルドン・カリー原作、ウェンディ・リル脚本)。炭坑町に生きる家族を題材にした古風だが幻想的な味わいのドラマ。ただし劇的な構成には乏しくやや退屈。気丈な娘に日色ともゑが扮し、巧いことは巧いのだが、やはり年齢的に無理がある。スター・システムの限界だろう。
帰路も車窓から満開の桜が遠方近方に。ほらあそこの公園、おやこちらの土手、と目移りしてばかりで読書も居眠りも儘ならない。
帰宅は六時近く。そのあとPCを開いたら重大な事実が発覚。明日(十日)だとばかり思い込んでいた原稿の締切がなんと今日(九日)だったのだ!
花見どころぢゃなかった、と悔やんだとて後の祭。まずは先方に丁重なる詫びを入れ、慌てて構想を練り始める。またしても泥縄だ。いやはや、なんてこった!