ふう、夕方だ、やっと空は晴れて夕映えが美しい。ここらでちょっと一息ついてヴェランダで軽く一服、そして久しく聴いてなかったCDを蔵出し。
"French Orchestral Music"
プーランク: シンフォニエッタ
ジョリヴェ: フルートと弦楽のための協奏曲*
ルーセル: シンフォニエッタ
イベール: 嬉遊曲
パーヴォ・ヤルヴィ指揮
タピオラ・シンフォニエッタ
フルート/マヌエラ・ヴィースラー*
1993年6月4、9日、タピオラ・ホール
BIS CD-630 (1993)
エストニアの新進指揮者がフィンランドの室内オーケストラを振って近代フランス音楽を振る。全く予測がつかない演奏だ。さしたる期待もせず聴き始めると、やっぱりどこか違和感がある。生真面目さが先立って、湧き立つような感覚的な歓びに乏しい。この指揮者が二十年後に欧米楽壇を睥睨するような大物になるとは誰もまだ予測できなかったろう。
とはいえ、この盤の選曲はなかなかに秀逸である。ルーセルとプーランク、ふたつの
シンフォニエッタを組み合わせたディスクが他にあったろうか。だから、堅いことは云わず素直に愉しもう。
一時間後。聴き終えて再びヴェランダから見上げると、今夜は金星と木星が少し離れて縦に並んだまま輝きを競っている。左方にはオリオン座が対峙するが、さしもの「冬の大三角」もいささか顔色を失う豪勢な眺めだ。