1月27日。一泊してエディンバラを辞去、昼過ぎに列車で昨日のルートを倫敦へ向け逆戻りする。車窓から望む英国風景はどこまでも単調でなだらか、左手には北海の水平線、右手には平坦な草地と畑が広がるばかり、峨々たる山脈なぞ影も形もない。冬もなお青々とした牧場で羊たちが静かに草を食む。
ところが中間地点のヨーク駅を過ぎたあたりから、奇怪な円筒形をしたコンクリート造の構造物群が繰り返し遠望される。間違いなくあれは原子力発電施設だ。美しく長閑な田園風景にあまりにも場違いな、あまりにも禍々しい眺めに背筋が凍りつく。嗚呼、麗しの大英帝国よ、お前もなのか!
倫敦キングズ・クロス駅に到着したのは夕刻六時。一旦わが宿に戻って旅装を解くのももどかしく、直ちにバスに飛び乗ってブルームズベリーの「プーシキン・ハウス」に馳せ参じる。今宵もここでプロコフィエフがらみのイヴェントがある。息せき切って扉を開けると、大丈夫、ぎりぎりだが間に合った!
Pushkin House
27 January 2012
19:30-
"Unexpected Discovery: a Prokofiev Premiere"
On the eve of the premiere at the Royal Festival Hall given by the
London Philharmonic Orchestra, international experts gather at
Pushkin House to discuss the upcoming event: the new, unknown
1961 version of Sergei Prokofiev’s oratorio Ivan the Terrible by
Levon Atovmyan, the discovery of its manuscript and the story
behind its creation.
Participants:
Nelly Kravetz (Tel-Aviv University),
Simon Morrison (Princeton University),
Caryl Emerson (Princeton University),
Alexander Ivashkin (Goldsmith College, University of London)
and Serguei Prokofieff Jr., the composer’s grandson (Paris).
Musical contributions by pianists Sergei Dreznin (Paris)
and Elena Krakopolskaya (Toronto).
Moderator: Alison Smale (International Herald Tribune)
明日(28日)ロイヤル・フェスティヴァル・ホールで世界初演されるプロコフィエフの映画音楽《
イワン雷帝》のオラトリオ新版(レヴォン・アトヴミャン編曲)に関するトーク・イヴェントである。会場には欧米各地のプロコフィエフ研究者が集まり、狭い会場は挨拶と歓談で喧しいほど。小生も旧知の数人に挨拶したり、昨日のエディンバラ公演のプログラムを進呈したり。咄嗟に英語が口をついて出ず往生する。
(まだ書きかけ)