1月26日。エディンバラに来ている。倫敦から列車で五時間弱かけて辿り着いたスコットランドの都。流石に空気が冷たい。札幌か小樽といったところか。
初めての都会なので勝手が皆目わからず、地図でスコッティッシュ・ナショナル・ギャラリーという美術館を見つけて訪ねると、ティツィアーノやベラスケスの逸品がさりげなく飾ってあって吃驚した。
夜は目抜き通りにあるフェスティヴァル・シアターでお目当ての観劇。スコティッシュ・オペラによるプロコフィエフの『
修道院での結婚 Betrothal in a Monastery』の新プロダクション初日である。
英語上演ということもあって、隅々までよく台詞が理解できたし、心ゆくまで愉しめた。歌手たちの芸達者ぶり、役づくりの見事さには驚くばかり、ウェルメイド・プレイを観る面白さなのだ。オペラは極上の娯楽なのだと思い知らされる。
それにしてもプロコフィエフの偉大さよ。スターリン粛清の直後、第二次大戦下の劣悪な環境下で、この反時代的とすら思えるコケティッシュな恋愛劇に絶妙な音楽を纏わせた不屈の精神力に感服せずにはいられない。