今日も暑くなりそうな気配。別室での片づけ作業に取り組む前に、気合を入れるべく
レオシュ・ヤナーチェクのシンフォニエッタ。
癖になる音楽なのだ。先日よりも正統的な演奏で聴きたくなる。
ヤナーチェク:
シンフォニエッタ
ヴァイオリン協奏曲(ミロシュ・シュテドロン、レオシュ・ファルトゥス編)*
オペラ組曲『利口な牝狐の物語』(ヴァーツラフ・タリフ編)
ヴァーツラフ・ノイマン指揮
南西ドイツ放送交響楽団
ヴァイオリン/クリスティアーネ・エディンガー*
1990年6月21、22日/6月23日/1986年5月13日、
バーデン=バーデン、南西ドイツ放送局、スタジオ5
Arte Nova 74321 30481 2 (2001)
一聴すると地味な、というと語弊があるが、抑制の利いたシンフォニエッタだ。ブラスが野放図に炸裂するような演奏とは一線を劃し、あくまで平静心を保ちつつ格調高い味わいを醸成させる。
ヴァーツラフ・ノイマンには手兵チェコ・フィルと組んだ名盤があるが、このドイツの放送オーケストラとの共演も滋味掬すべき名演である。聴き進むうち共感がじわじわ滲み出る。
ヴァイオリン協奏曲は1926年にオペラ『死の家の記録』序曲として構想されたが除外され未定稿のまま残された遺作だという(1988年初演)。ヨセフ・スクの弾いたディスクもあるらしいが、小生は初めて聴く。単一楽章で十数分の音楽だが、円熟期のヤナーチェクを協奏曲形式で聴けるのが嬉しい。
ヤナーチェクのオペラに関して、ノイマンは他の追随を許さぬ豊富な経験を有する。とりわけ『
利口な牝狐の物語 Přihody lišky Bystroušky』は彼の最も得意とする演目だった。史上初の全曲盤(1957録音)を手掛けたのも彼だし、ドイツ時代にはフェルゼンシュタイン演出の舞台を何度も指揮し(1965年の映像が残る)、チェコ・フィル常任時代に全曲をステレオ再録音(1979)している。その彼が振る組曲版にはさすが格別の臨場感がある。森の情景が目に浮かぶよう。
このディスクが殆ど話題にならないのは不思議なことだ。祖国が社会主義の頸木を逃れ自主独立を回復する決定的な時期に、ノイマンが「西側」に残した重要な演奏記録である。数百円で手に入るからといって侮ってはならない。ブックレットの装画(フランツ・マルク!)も似つかわしい(
→これ)。