昨日に引き続き、夏に因んだ音楽を聴きながら過ごしている。想像力でどこまで涼しくなれるか。別室を整理していて、奥の方からひょっこり姿を現したアルバム。
"Musique & Cinéma: Michel Legrand"
ミシェル・ルグラン:
ハープと管弦楽のための協奏曲 "Les parapluie de Cherbourg"
ハープと管弦楽のための小協奏曲 "Un été 42"
ハープ、クラヴサン、管弦楽のための組曲 "Le messager"*
ハープと管弦楽のための組曲 "Yentl"
ハープ/カトリーヌ・ミシェル
ミシェル・ルグラン指揮&クラヴサン(*)
大交響管弦楽団
1995年、シュレーヌ(オー=ド=セーヌ)、ギヨーム・テル・スタジオ
Auvidis Travelling K 1020 (1995)
「音楽と映画」という標題が示すとおり、これはミシェル・ルグランの最も優れた映画音楽を彼自身の手になる「ハープ協奏曲」版で聴かせようという企てだ。編曲は恐らくこのアルバムのために新たに為されたもの。云うまでもないが順に《シェルブールの雨傘》《おもいでの夏》《恋》《愛のイェントル》のために書かれた音楽である。その溢れんばかりの旋律美に心震わされぬ者はいないだろう。とりわけ《シェルブールの雨傘》は主だったナンバーを網羅した三十分に余る大作であり、ルグランの溢れんばかりの創造力には圧倒される思いがする。
独奏者カトリーヌ・ミシェルはパリのフランス国立管弦楽団の首席奏者だそうだ。確かな技術から紡がれた音色はあくまで玲瓏と澄みきって涼しげ。
とりわけ《
おもいでの夏 Summer of '42》と《
恋 The Go-Between》の音楽はフィルムに刻まれた「追憶の夏」の気配をまざまざと想起させる。どちらも年上の女性に思慕し、翻弄される少年の淡い恋心が主題だった。この二本が相前後して殆ど同時に製作され(公開はともに1971年)、ミシェル・ルグランの旋律に彩られたのは、余りにも出来過ぎた偶然である。ジェニファー・オニールとジュリー・クリスティ、綺麗だったなあ。あれから四十年になると気づき粛然となる。去年の雪、今いずこ。