起き抜けにBBCウェブレイディオでプロムズ実況を聴く。先週金曜日の演目。いきなり力に溢れた蒸気機関車の音楽に喝を喰らわされる。
BBC Proms 2011
Prom 19
Fri 29 Jul 19:30-
Royal Albert Hall
Honegger: Pacific 231
Honegger: Pastorale d'été
Bridge: There is a Willow Grows Aslant a Brook
Berg: Der Wein*
Castiglioni: Inverno in-ver
Debussy: La Mer
Claire Booth (soprano)*
BBC Symphony Orchestra
Oliver Knussen (conductor)
愛惜曲を並べただけ、と云わんばかり、いかにもオリヴァー・ナッセン好みのプログラムだが、普段なかなか生で聴けない音楽と出逢えるのもプロムズならではの妙味だろう。「
パシフィック231」(1923)の実演の機会もありそうで案外ない。
夏のアルプスの空気を思わせる「
夏の牧歌」(1920)から晩秋のヒース野さながらの「
河岸に柳が枝垂れている」(1928/題名は『ハムレット』の一節に因む)へ、更にぐっと内省的に「
葡萄酒」(1929)へと繋がる流れは無関係のようでいて不思議に連綿と連なって聴こえる。
休憩を挟んでニッコロ・カスティリオーニの "
Inverno in-ver"(1972)は断片的な冬景色が明滅する感じか。
そして、これらすべての源流としての「
海」(1905)。この「海」が実に個性的な名演だった。細部まで神経が行き届き、しかも随所で「おや」と驚くような音色配合の発見があって片時も飽きさせない。自ら作曲家だからだろうか、百年前のドビュッシーを「今ここ」に引き寄せ、甦らせるような演奏。面白かったなあ。