どつちみち暑い盛りなのだからと思ひ定め、涼を求めて圖書館に逃避を決め込む。地下鐡を乘り繼いで廣尾の都立中央圖書館へと赴く。
館内の食堂での晝食を挾んで、久しく途絶してゐた坪内逍遙関聯の下調べの續き。基礎的なデータはあらかた入手したので、あとは明治・大正期の雑誌記事に逐一當たるのが手順だが、以前ならこゝで容易に閲覧出來た雑誌類は悉く多摩の分館へと移管されて今は無い。機會を改めて國會圖書館と演劇博物館とに足を運ばねばならぬ。いやはや難儀な事よ。
根を詰めてメモを取つてゐたら聊か疲勞を覺へ喉も乾いた。廣尾の商店街まで踵を返しセガフレード・ザネッティで冷製珈琲を飲みつゝ一服吹かして人心地つく。歸りに驛前の麺麭屋で佛蘭西麺麭を購入。
往還の車中では夭折した天才數學者エヴァリスト・ガロワの傳記を讀み終へる。この新刊書に就ては項を改めて感想を書かねばならぬ。