所用で上京、帰宅は夕方になった。途中で露店の八百屋に立ち寄る。葉物野菜が目立って少ないうえ、果物の端境期(苺は見かけず、枇杷はまだだ)なので店頭がひどく寂しい。仕方無いのでカリフォルニア産だというダーク・チェリーを購入。
夕食後そのチェリーを摘み喰いしながらBBCラジオを聴く。"Afternoon on 3" なる帯番組から、今日で期限切れとなる回をまず。
ブリテン:
鎮魂交響曲
リムスキー=コルサコフ:
歌劇『五月の夜』序曲
ムソルグスキー(リムスキー=コルサコフ編):
禿山の一夜
Orchestra: BBC National Orchestra of Wales
Conductor: Thierry Fischer
2010年7月22日、ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール
2010年9月17日、カーディフ、セント・デイヴィッド・ホール
またしても
ティエリー・フィッシャーの肌理こまやかな指揮ぶりに敬服させられる。ともすれば晦渋に傾きがちなブリテンの若書きも、あくどい民族色で塗り籠められた「露西亜五人衆」も、彼のタクトの下で明晰で曇りなき音楽として響くのが素晴らしい。ウェールズのオーケストラもよく要求に応えて健闘。名古屋の楽団がここまで到達できなかったのは返す返すも残念だ。
もうひとつ、別の日の同じ番組から。
マスネー:
劇的な組曲 Suite dramatique
ジョン・アダムズ:
和声学 Harmonielehre
Orchestra: BBC National Orchestra of Wales
Conductor: Thierry Fischer
2007年9月22日、プラハ、ルドルフィヌム、ドヴォジャーク楽堂
2011年1月28日、カーディフ、セント・デイヴィッド・ホール
寡聞にして聴いたことのない二曲だが、いずれもフィッシャーに打ってつけと思える。光彩陸離たる情景が目に浮かぶような雄弁なマスネー。単調と大仰いずれにも与せず、長丁場を飽きさせずに聴かせるアダムズ。どちらも指揮者の並々ならぬ力量を披歴した好演である。