昨夜の帰宅は午前様になってしまった。なので一日遅れの日記。
鬱々してばかりもいられない。早起きして電車と地下鉄を乗り継いで笹塚へ。この街のシティ・ホテル一階のカフェで月例コンサート「
カフコンス」がある。例によって凝りに凝った演目が楽しみだ。主宰者のピアニスト川北さんに軽く会釈して着席。馨り高い中国茶を飲みながら開演を待つ。
カフコンス Cafconc by Stravinsky Ensemble
第八十回 「春のトリオダンシュ」
笹塚、Blue-T
11:00開場&ティータイム
11:15開演
ジャック・イベール:
木管三重奏のための五つの小品
ダリユス・ミヨー:
田園曲
アストル・ピアソラ:
ポルテーニョの春
フローラン・シュミット:
トゥール・ダンシュに
アンコール
バッハ:
Jesu, Joy of Man's Desiring ~カンタータ百四十七番「心と口と行いと命」
出演
オーボエ/中山正瑠
クラリネット/荒木こずえ
ファゴット/江草智子
ピアノ/川北祥子
(口上)
"Trio d'anches" とはオーボエ、クラリネット、ファゴットによる三重奏(anche=管楽器のリード)。20世紀初めのパリで、あるファゴット奏者の提唱から誕生したこの編成は、個性の異なる三楽器をリードという共通点のもとに組み合わせたことで、多様な表現と調和を併せもっています。本日は、当時書かれたイベールとミヨーの三重奏、ピアノも加えたシュミットの四重奏に、近年のブームも記憶に新しいピアソラのタンゴ(トリオダンシュ版)を交えて演奏します。
※なお、本日の入場料は、会場費と飲物代を差し引いた額を東北関東大震災義援金に寄付させていただきます。
いかにもこの会らしく練り上げられたプログラム。しかも滅多に実演で聴けない曲ばかり。せめて音楽からだけでも春を感じ取りたい気持ち。
イベールとミヨーは、いかにもイベールでミヨーだ。どこかで聞き憶えがあるような気もするのだが、似た曲が多いので別のと取り違えているかもしれない。とにかくフランス近代でなければ耳にできない洒脱な愉悦感だ(大の苦手であるピアソラについてはノーコメント)。木管三重奏は終始よく呼吸も揃って高水準。とりわけオーボエの中山氏は相当な巧者とみた。ドイツ風の音色だがなかなか聞かせる。
そのあとの
フローラン・シュミットこそが本当の聴きものだった。昔からこの不遇な作曲家に注目していたけれど、この「
トゥール・ダンシュに À tour d'anches」という曲はまるきり知らなかった。どちらかというと沈潜した趣の晦渋な音楽を書く人だと思っていたら、この曲の瀟洒な感覚的な歓びはどうだろう。光彩陸離、生き生きとしたエスプリが息づいている。木管三重奏に負けじと、溌剌と弾け、動きまわるピアノが水際立った活躍をする。端倪すべからざるフローラン・シュミット。
アンコールはしめやかにバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」。遙かなる被災者への祈りとして。今日のための特別な編曲だと思う。
あっと云う間の四十五分だった。川北さんに「こんな鮮やかなフローラン・シュミット、あるんですね…」と驚きを告げると、「そう、イベール以上に新しいでしょ」と自慢げ。CDも出ているそうだ。知らなかったなあ。
満ち足りた心で会場を辞去して駅まで戻り、新宿で中央線快速に乗り換え東京駅へ。八重洲口を出て界隈を歩くとさすがに日曜とあって閑散としている。
咽喉が乾いたので裏通りの珈琲屋で一服。少し心を鎮め態勢を整える。
一時四十五分になったので銀座一丁目方面へと歩を進める。ホテル西洋銀座裏の水谷橋公園へ。今日はこれから反原発デモがあるという。
銀座デモ・パレード「再処理とめたい!首都圏市民のつどい」
集合13:45、出発14:00
集合場所: 銀座・水谷橋公園
解散場所: 日比谷公園
(口上)
いつもは『STOP再処理 LOVE六ヶ所 パレード』としてきましたが、今回は福島原発震災発生のため、タイトルも変更してデモを行いたいと思います。横断幕やプラカードなど持って来て下さい。日比谷公園では短時間ですが、最新状況も報告します。
(呼びかけ団体)
原水禁国民会議/プルトニウムなんていらないよ!東京(旧称 ストップ・ザ・もんじゅ東京)/大地を守る会/福島老朽原発を考える会/日本山妙法寺/日本消費者連盟/ふぇみん婦人民主クラブ/グリーンピース・ジャパン/原子力資料情報室/たんぽぽ舎
市民デモに参加するのは恐らく三十年ぶりではなかろうか。やむにやまれぬ気持ちで加わった。黙ってじっとしてはいられないからだ。
集合場所の公園はすでに人波で溢れていた。ほうぼうで挨拶を交わし、情報を交換する声、声、声。ほどなく人垣の間にヴィデオ・カメラを手にした旧友・荒川俊児君の姿を見つける。傍らには森まゆみさん。おふたりは「映像ドキュメント」「映像・谷根千」として共同で運動している仲間である。
聞いた話によれば、この月例の反原発デモはこれまで参加者二、三十名程度の規模でささやかに行われてきたのだが、今回の福島原発事故を機に一挙に輪が広がり、今日の参加者はざっと千人に膨れ上がったのだという。この小さな公園はもう汗牛充棟の混雑ぶり。今にも人が舗道に溢れ出しそう。
二時きっかりにデモ開始。隊列は高速道路脇をゆるゆると進み、外堀通りへ。
(まだ書きかけ)