昨日に引き続き、大バッハを中心に聴く。やはり棚からたまたま取り出したディスクである。耳にするのは随分と久しぶりである。
"Unpublished Recordings: Elisabeth Schwarzkopf"
バッハ:
カンタータ 百九十九番 「わが心は血に塗れ」*
ミサ曲 ロ短調 より**
■クリステ・エレイソン~ラウダムス・テ~エト・イン・ウヌム・ドミヌム
モーツァルト:
演奏会アリア「わが感謝を受け給え、慈悲深き人よ」 K. 383***
ギーゼキング:
子供の歌 Kinderlieder (全二十一曲)****
シュトラウス:
四つの最後の歌*****
ソプラノ/
エリーザベト・シュヴァルツコップ
コントラルト/カスリーン・フェリアー**
サーストン・ダート指揮 フィルハーモニア管弦楽団*
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ヴィーン交響楽団**
アルチェーオ・ガッリエーラ指揮 フィルハーモニア管弦楽団***
ピアノ/ヴァルター・ギーゼキング****
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団*****
1958年5月26日、ロンドン、アビー・ロード、第一スタジオ*
1950年6月15日、ヴィーン、楽友協会楽堂(リハーサル実況)**
1955年4月10日、ロンドン、アビー・ロード、第一スタジオ***
1955年4月16日、ロンドン、アビー・ロード、第三スタジオ****
1956年6月20日、ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール(実況)*****
EMI CDM 7 636552 (1990)
奇しくも昨日ロレイン・ハントで聴いたのと同じカンタータ「199」で始まるのに吃驚。しかもまるで別の曲に思えるのに二度吃驚する。深々とした包容力や祈るような佇まいは後退し、明朗に歌われたオラトリオの趣。ただし歌唱の完成度は高い。碩学サーストン・ダートの指揮もまずまず。これが三十年以上もお蔵入りになっていた理由がわからない(前後して「202」も同じ顔合わせで収録された由)。
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ロ短調ミサは大バッハ歿後二百年祭の際の実況録音。同じくカラヤンの指揮による六日前の「マタイ受難曲」ともども全曲が収録されたものの、シュヴァルツコップ=EMI、フェリアー=Decca と専属レコード会社が異なることから永く世に出ず幻の音源となったもの。ここで聴けるのはご両人のデュエット十数分のみだが、それでも夢心地に誘われること必定だ。
ここまででも凄いのだが、このCDには更にシュヴァルツコップがギーゼキングのピアノ伴奏で(何と!)ギーゼキング作曲の珍しい歌曲集(1934~35/ドビュッシーがドイツに帰化したような音楽)を歌った未発表テイクやら、カラヤンの指揮でシュトラウスの「
四つの最後の歌」を倫敦で歌った実況(曲順は「春」「眠りに就こうとして」「夕映えに」「九月」という実に奇妙なもの)やら、とにかく貴重このうえない音源が次から次へと開陳される。とにかくシュヴァルツコップの巧さには感服する。