こういうとき悠長に音楽どころではないのだが、それでも聴こう。聴かずにはいられないのだ。
バルトーク: 弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
マルチヌー: 二つの弦楽合奏、ピアノと打楽器のための二重協奏曲*
シュトラウス: 23弦楽器のための「メタモルフォーゼン」
ルーセル: 弦楽合奏のためのシンフォニエッタ
ヒンデミット: ピアノと弦楽合奏のための「四気質」**
オネゲル: 弦楽合奏とトランペット(任意)のための交響曲 (交響曲 第二番)***
ジョルジュ・オクトール指揮
王立ワロン室内管弦楽団ピアノ/ドミニック・コルニル*、ヴォルフガング・マンツ**
トランペット/アントワーヌ・アキスト***
1993年10月18~22日、94年3月28~4月1日、7月12~16日、
リエージュ王立音楽院
Cyprès CYP 2607 (1995)
第二次大戦を挟む十数年間に弦楽を主体とする室内オーケストラのために書かれた楽曲アンソロジー。何よりも選曲の妙に唸る。バルトーク、マルチヌー、オネゲル、シュトラウスはいずれも名伯楽
パウル・ザッハーの委嘱で作曲されたものだ(詳しくはこの記事を参照。→
「20世紀音楽の偉大なるパトロン」)。どの音楽にも時代の刻印がくっきりと記されていることに気づかぬ者はいないだろう。作曲家とて世界情勢と無縁では生きられなかったのである。
この全く未知の指揮者と演奏団体の知られざる演奏を選んだのは、恐らくかなりの小編成によるのだろう、響きの痩せた、それだけにキビキビと鋭い、熾烈極まりない演奏だから。潤いが足りない? 然り。だがそういう時代だったのだ。
指揮の
ジョルジュ・オクトール Georges Octors は1923年ベルギー領コンゴに生まれ、ブリュッセルの王立音楽院で学んだ。ヴァイオリン奏者として活躍後1956年アントウェルペン・バッハ・アンサンブルを結成。1960年アンドレ・クリュイタンスに認められベルギー国立管弦楽団の副指揮者となった。1991~98年、ブリュッセルの王立ワロン室内管弦楽団(Orchestre royal de chambre de Wallonie)の首席指揮者。子息のジョルジュ=エリー・オクトール Georges-Elie Octors はアンネ・テレサ・デ・ケールスマーケル主宰の舞踊集団「ローザス」の専任指揮者として広く知られる。