評伝を読み終わっても性懲りもなくまだジョゼフ・コーネルに思いを馳せている。夢うつつの状態が続き、"The song is ended but the melody lingers on." といった有様なのだ。
コーネルがハンス・クリスティアン・アンデルセンに惚れ込んでいたのに因み、今日はアンデルセン童話に題材を得たバレエ音楽をかけてみることにしよう。
ストラヴィンスキー:
バレエ音楽『妖精の接吻』
チャイコフスキー(ストラヴィンスキー編):
青い鳥のパ・ド・ドゥー ~バレエ『眠りの森の美女』
ネーメ・ヤルヴィ指揮
スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
1984年9月3日、グラズゴー、SNOセンター
Chandos CHAN 8360 (1985)
四場からなるバレエ『
妖精の接吻 Le baiser de la fée』はアンデルセンの童話「氷姫 Iisjomfruen」に基づく新作として1928年11月27日、パリのオペラ座で初演された。主役の妖精=氷姫は
イダ・ルビンシュテイン。彼女が主宰するバレエ団からの委嘱作である。「座付作曲家」を奪われたディアギレフは初演を観るなり苦々しげに「取るに足らぬバレエだ」と唾棄したという。
ストラヴィンスキーはすべての主題をチャイコフスキーの既存の楽曲(ピアノ小品と歌曲)から採っており、そこにはチャイコフスキーの「三大バレエ」の遺鉢を継ぐ意図がほのみえる。ストラヴィンスキーの管弦楽法はクールに洗練され、甘やかな旋律のロマンティシズムと相俟って、癒しがたいノスタルジーを感じさせる。そこに亡命者の望郷と悲哀を嗅ぎとるのも難しくない。
バレエ狂でアンデルセン好きのコーネルは勿論この作品を知っていたろう。1937年に
ジョージ・バランチンがニューヨークでそのアメリカ初演を果たしており、1950年からはNYシティ・バレエ団の演目にも加わっていたからである。
(まだ書きかけ)