家人は週に二回の割りで英会話学校に通っている。どの程度のレヴェルなのか詳らかにしないが上級クラスなのだという。断続的ながらもう二十年以上も続けているのだといい、これには感心する。
小生はといえば英語で読書するのは愉しいが、書いたりしゃべったりするのは難儀だ。苦痛ですらある。今日は必要に迫られ倫敦に短いメールを書き送ったのだが、それだけでひどく苦労する。
昨日からぽつぽつ読み始めた小説が面白い。いつだったか、十年ほど前に倫敦のテムズ河畔の青空古本市でふと手に取った一冊で、ジョージ・オーウェルが主人公として登場する。彼がどのようにして『動物農場』の着想を得たか、その経緯を綴ったドキュメンタリー風のフィクションだ。いきいきと簡潔な文章だが、それでもところどころ辞書なしでは意味がとれないのが情けない。
読書に疲れたので、ちょっと音楽に逃避。今日はドビュッシーのピアノ曲。
"The Unknown Debussy"
ドビュッシー:
玩具箱
「選ばれし乙女」前奏曲
牧神の午後への前奏曲 (レナード・ボーウィック編)
『リア王』より ファンファーレ、リアの眠り
リンダラハ (ロジェ=デュカス編)
『聖セバスティアヌスの殉教』抜粋 (アンドレ・カプレ編)
ピアノ/ボアズ・シャロン1990年5月8、9日、トロント、ハンバー・クレスト・ユナイテッド・チャーチ
Unicorn-Kanchana DKP(CD)9103 (1990)
これは貴重な録音である。通常ドビュッシーのピアノ曲全集で聴けるのは最初の「玩具箱」だけ。残りは滅多に耳にする機会のないヴァージョンばかりだ。
「選ばれし乙女」や「リア王」の断片の自作ピアノ版も初めて聴くし、他の編曲物も珍しいもの尽くし。とりわけ英人ボーウィックの手になるピアノ独奏版「牧神」は1914年ロンドンで
大田黒元雄が編曲者自身の演奏で耳にし、翌年に自ら奏して日本初演したヴァージョンなので興味津々。ニ台ピアノがオリジナルの「リンダラハ」の独奏版も、「聖セバスティアヌス」初演時に協力したカプレがピアノ独奏用に抜粋編曲した版も、このディスクで存在を初めて知った。
ボアズ(ボウズ?)
・シャロン Boaz Sharon は1949年テルアヴィヴ生まれ。かつてシャルル・ケックランのピアノ曲集や歌曲集の伴奏で優れたセンスを発揮した人だ。このアルバム「知られざるドビュッシー」も、繊細な響きが耳に残るなかなかの名演ではないか。探しにくいディスクだが見つけたら必携である。
さあ再び英文読書に戻ろうか。