家人と一緒に駅前まで散歩に出て本屋に立ち寄った。
『
ミュージック・マガジン』九月号を手に取ると、巻頭特集「燃え上がるブルックリン」の冒頭に今野雄二さんが寄稿している。巻末の編集後記によると、この原稿を仕上げた直後、連載に取り掛かることなく自死されたとのことだ。健筆を揮っていたさなか何が彼をそこまで追いつめたのだろう。
『
すばる』十月号を開くと巻頭に吉田秀和さんのエッセイ「永遠の故郷」が載っている。この二か月ほど休載されていたが、再開されてなによりだ。今回はシューベルトの「白鳥の歌」。九十六翁がこの早過ぎる遺作をどう語るか、読むのが愉しみ。
そうこうするうち昼飯時が近づいてきた。
ふと思い立って通りすがりに「
さくら水産」に入ってみる。安価な居酒屋なので昼食もさぞかし低廉ではないかと考えたのだ。小型の自販機で「Aランチ」「Bランチ」(各五百円)か「鮪中落ち定食」(六百五十円)かを選ぶ。今日のAは焼き鮭、Bはカレーをかけた豚カツ。価格的にはまあ普通より少し安めといった設定だ。
ところがこの先が凄いのなんの。家人と二人掛けの卓に案内されると、そこからはすべてセルフサーヴィス。ご飯をよそいに席を立って驚いた。ご飯、味噌汁、生卵、味付海苔、お新香、ふりかけ、それに夏季限定として素麺までが悉くおかわり自由、食べ放題だというのである。卓上の冷やした麦茶ももちろん飲み放題。ちょっとしたホテルの朝食並みではないか。
家人も小生も黙々と休みなく箸を動かし、ワシワシ頬張ること半時間。
主菜の豚カツに加えて、丼ご飯三杯、味噌汁三杯、味付海苔十二枚、生卵四個、漬物二皿、ふりかけ相当量、それに素麺を二杯半(半杯は家人の残した分)を平らげたらさすがに満腹。ふう。これで元は取れただろうか。
食後の片付けもセルフサーヴィスというのは社員食堂並みに徹底している。ともあれ五百円で死ぬほど腹が膨れるのだから文句はない。栄養豊富な生卵と味噌汁があり、素麺の薬味の万能葱をご飯にもたっぷりかけたのでヴィタミンも摂取できた。
立ち上がるのも難儀なほどだが、十二時を回って混み合ってきたのでそそくさ退散。