颱風一過といふ程に大袈裟なものぢやなかつたのだが、豪雨が降り止んだあとはひつそり閑。秋の蟲が一齊に鳴き出した。
窓を開けたら思ひのほか涼しい風が吹き込んできた。何箇月振りだらうか、天然の冷房は矢張り格別である。靜けさのなかで密やかに聽くべき音樂は何にしやうか。
《木の葉集~信時潔ピアノ曲集》
信時潔:
組曲「六つの舞踊曲」(1932)
自作主題による變奏曲(1920、伯林)
組曲「野花と少女」
譚詩曲(1920、伯林)
小學唱歌「月」による十の變奏曲
組曲「木の葉集」(1936)
小曲俚謠集(1926-27) より(十二曲)
ピアノ/花岡千春
2004年8月26、27日、東京、三鷹市立藝術文化センター、風のホール
Bellwood BZCS 3016 (2004)
珍しいピアノ曲許りだ。勿論どれもこれも初めて聽く。初めてなのに何故かひどく懐かしく響く。シューマンのやうでいて明らかに近代のものだと氣付かせる斬新な響きもそここゝにある。古めかしくて新しい不思議な音楽。
(まだ聽きかけ)