今にも降り出しそうな空を気遣いながら家人に同行して外出。モノレールで千葉市中をゆるゆると移動、ちょっと街外れのうら寂れた場所に立地する
千葉市美術館まで赴く。ここで開催中の「
伊藤若冲 アナザーワールド」展、すでに一度足を運んでいるのだが(当ブログではレヴューせず)、会期半ばに大幅な展示替があったというので最終日を明日に控えた今日、再度足を運んでみた次第。
いやはや凄い人出である。かねてから人気の高い《
樹花鳥獣図屏風》(静岡県立美術館)などは十重二十重の人垣に隠れて殆ど見えないほど。今更ながら若冲人気のほどを思い知らされる。
小生が美術史を齧った1970年代前半には予想だにしなかった事態である。若冲や蕭白を「下手物」として顧みなかった当時のアカデミズムもどうかと思うが、飛び抜けた大天才の如く手放しで褒めそやす昨今の風潮にも些か鼻白む。とはいうものの、会期後半の二週間のみの展示だという新発見の大作《
象と鯨図屏風》の野放図な造形感覚には震撼させられた。これが八十歳の作だというのだから、やっぱり只者ぢゃない。この一双の屏風を観るためだけでも足を運んだ価値はありそうである。
千葉市美術館の底力を感じさせる展覧会だ。入場券の半券を提示すると二度目からは半額(五百円)で観られるというシステムも難有い。
なんとか降られずに済んだ、やれやれと胸を撫で下ろしていたら、自宅近くまで辿り着いたところでとうとう雨粒が落ちてきた。六月だもの、到し方あるまい。