朝っぱらから家人はいそいそ出掛けてしまう。英会話の授業なのだそうな。これ幸い、心おきなく大音声で音楽をかけて過ごそう。
今月はバレエ・リュスの連載もどうやら準備不足のため執筆できそうにない嘆かわしい状況なのだが、せめて音楽だけでも聴いていたい。
"Diaghilev - Ballets Russes vol. 5"
ファリャ:
『三角帽子』*
プロコフィエフ:
組曲『道化師』
ソプラノ/オフェリア・サラ*
ファブリス・ボロン指揮
キリル・カラビツ指揮
バーデン=バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団
2008年5月26~28日、フライブルク,コンツェルトハウス+マインツ,ラインゴルトハレ
2009年5月7日、フライブルク、コンツェルトハウス
Hänssler CD 93.253 (2009)
2007年に開始された本シリーズも既に第五集。次の第六集も早々と出たようだ。ここに演目を取り纏めておくと、
■第一集
春の祭典+遊戯+ラ・ペリ
■第二集
ダフニスとクロエ+牝鹿
■第三集
牧神の午後+サロメの悲劇+ペトルーシュカ
■第四集
白鳥の湖+眠れる森の美女+夜鶯の歌
■第五集
三角帽子+道化師
■第六集
プルチネッラ+花火+ティル・オイレンシュピーゲル+ラ・ヴァルス
第四・第六集は未聴であるが、ざっとこんなラインナップである。
いきなり第一集で「非バレエ・リュス」演目の『ラ・ペリ』(成立にディアギレフが関与してはいるが)が登場するなど首を傾げる点が無きにしもあらずだし、既存の放送局録音からのピックアップなので演奏の出来映えにも甲乙があった。
で、その第五集なのであるが、これが嬉しくなるほど上首尾な演奏なのだ。フランス人
ファブリス・ボロンもウクライナ人
キリル・カラビツもまるで知らない(おそらくは若い)指揮者であるが、隅々までよく考え抜かれた秀逸な演奏である。『三角帽子』のソプラノもいい味を出しているし。カラビツ(空櫃とは面妖な名だ)のプロコフィエフも荒っぽくない丁寧な解釈に好感がもてる。
本盤には
ジョン・ノイマイヤーが序文を寄せ、彼の主宰する財団が後援する形になっている。ということは今後も陸続と続編が出されるのであろうか。どうせなら、これまで等閑視されて録音の全くない『青い神』や『蝶々』、『ゼフュロスとフローラ』や『舞踏会』などを是非とも録音してほしいと切に希う。