次回分の連載原稿に添付する画像を送ってしまったのでひと安心。間髪を入れず次々回分の執筆に取りかかる心づもりだったが、その前にちょっと小休止したい。
昨日たまたま目に留まったディスクをかけて疲れを癒す。
"Polska! A Celebration of Polish Music"
ヘンリク・グレツキ:
すべて御身に(Totus Tuus)
カロル・シマノフスキ:
六つのクルピエの歌*
グラジナ・バツェヴィチ:
弦楽四重奏曲 第三番**
シャモトゥーのヴァツワフ(16世紀):
七つのポーランドの聖歌
クシシュトフ・ペンデレツキ:
神の子羊(Agnus Dei)
ボー・ホルテン指揮 BBCシンガーズ
ソプラノ/ヘレン・マイルズ、テノール/ヴァーノン・カーク*
ペンデレツキ四重奏団**
1993年11月27日(実況)、1994年1月31日、
ロンドン、ナイツブリッジ、セント・ポールズ・チャーチ
United 88021 (1994)
1993年から94年にかけてBBCが催した "Polska! Season" なる一連の演奏会を収めた一枚であるらしい。
鍾愛のシマノフスキの合唱曲「
六つのクルピエの歌 6 Pieśni kurpiowskie」がなんといっても聴きものだ。この至純の美しさをなんに譬えたらいいのだろうか。加えてこのディスクではグレツキやペンデレツキの宗教合唱曲を16世紀のポーランド聖歌と併せて体験できるのが得がたい。こうして続けざまに耳にすると五百年の時の経過なぞなんのその、一貫したポーランド精神が脈打つのを否応なしに体得できる。
ショスタコーヴィチ:
交響曲 第十三番「バビ・ヤール」
バス/ギドン・サクス
ジェラード・シュウォーツ指揮
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー合唱団(男声)
2003年3月17、20、22日、リヴァプール、フィルハーモニー・ホール
Avie AV2096 (2006)
初めて耳にして戦慄を覚えてから早四十数年の時が流れた。気づいてみると作曲者もコンドラシンもオーマンディも疾うにこの世の人ではなく、弾劾の対象だったはずの巨大な恐怖国家は跡形すらなく、第十三交響曲は今やすっかり人口に膾炙して二十余のディスクで聴くことができる。思えば遙か遠くまで来たものだ。
ライナーノーツを読んで知ったのだが、RLPOはこの問題作を西欧で初演した誉れあるオーケストラなのだそうだ(1971年9月14日、チャールズ・グローヴズ指揮)。日本ならさしずめ早稲田大学交響楽団といったところか(ちょっと格が違うが)。もっともそうした史実とこの演奏の質とはなんの関係もない。バス歌手の声質のせいか、指揮者の解釈なのか、なんとも深みを欠いた軽量級の演奏なのである。かつて打ちのめされたあの曲だけにどうにも承服できない。これも時代なのか。