昨日から延々書き続けているのだが、まだ連載原稿は終わらない。あと一日でゴールに到達するのはどうやら間違いないのだが。
またしても流れているのはバレエ音楽、ただし時代はずっと下り、米国におけるバレエ・リュスの後継者
ジョージ・バランチンの振付作品を集めた二枚組CDを聴く。
"A Balanchine Album"
《セレナード》 ~チャイコフスキー: 弦楽セレナード
《四気質》 ~ヒンデミット: 四つの気質
《アゴン》 ~ストラヴィンスキー: アゴン
《エメラルド》 ~フォーレ: ペレアスとメリザンド+シャイロック
ロバート・アーヴィング指揮
ニューヨーク・シティ・バレエ管弦楽団
1986年2月、パーチャス、ニューヨーク州立大学
Nonesuch 9 79135-2 (1992)
ディアギレフの後期の秘蔵っ子だったジョージ・バランチン(aka ジョルジュ・バランシン)が米国で主宰したNYCBは、好くも悪しくも20世紀後半のバレエ界の趨勢を決定づけた。バランチンの没後、ゆかりの楽曲を集めた二枚組。LP時代の最末期に出て、そのアルバム・カヴァーのあまりの美しさにしばし嘆息したものだ(
→これ)。写真は
アンリ・カルティエ=ブレッソン、ADは名手ヘンリエッタ・コンダックの手になる秀作。拙著『
12インチのギャラリー』にももちろん収載した。
ヒンデミットとストラヴィンスキーのみが委嘱作品。共にいかにもバランチン好みのクール・ビューティと称すべき音楽である。あとの二曲は既成曲なのだが、チャイコフスキーの楽章を入れ替えたり、フォーレの二作をミクスチャーしたりと、ほんと、バレエの帝王はやりたい放題だ。その辺が聴けるのも当アルバムならでは。
これでアーヴィングの指揮が凡庸でなければ云うことなしなのだけれども。