時ならぬ春の嵐が吹き荒れた一日。今も風音が吹きやまない。これで早咲きの桜はあらかた散ってしまうだろう。
今日は終日ずっとPCに向かって連載執筆に勤しんだ。昼前から夕食後までざっと九時間。さすがに捗って、どうやら七割がた書き上げた模様。
イザドラ・ダンカンがすぐ間近にいるような錯覚に襲われる。
執筆の伴侶はイザドラが対抗意識を燃やした
バレエ・リュスのための音楽。1909年の第一回パリ興行の記念すべき最初の演目である。
ニコライ・チェレプニン:
バレエ組曲『アルミードの館』
交響詩「魔法にかかった王国」
リムスキー=コルサコフ:
組曲『金鶏』
ヴィクトル・フェド―トフ指揮
レニングラード交響楽団(レニングラード・フィルハーモニア・アカデミー交響楽団)
1984年、レニングラード録音スタジオ
Manchester Files CDMAN 162 (2002)
ニジンスキーとパヴロワを主役に据えたバレエ・リュスの看板演目ながら時の試練に耐えず、上演はおろか楽曲そのものが忘却の深淵に沈んだ「
アルミードの館」。SP最初期の1916年NYで若きアンセルメがバレエ・リュス管弦楽団を振って断片的収録に挑んだきり、永く録音にも恵まれず、小生の知る限りLP時代にはこれが入手できる唯一の音源だったとおぼしい。
リムスキー=コルサコフ門下でその片腕をもって任じたチェレプニンはこの曲を聴く限りでは恩師の亜流にしてグラズノーフの二番煎じといったところ。オーケストレーションの魅惑を除くと取り柄のない音楽だ。マリインスキー劇場を根城にしたバレエ専門のフェド―トフの棒は流石に老練でダンサブルだが、ひたすら霊感に欠ける生ぬるい演奏に終始。ただしオーケストラの力量はかなりの高水準で、レニングラード・フィルの二軍として十分通用する。
「
魔法にかかった王国」は「火の鳥」伝説に基づく音詩だが、リャードフの出来損ないといおうか、なんの魔法も感じさせぬ凡庸な曲想にうんざり。それに較べればリムスキー御大の「
金鶏」はいかにも聴かせどころ満載だ。