よく知った人間の死はボディブロウさながら、じわじわと効いてくる。それが年下の友人であるなら尚更である。
気を取り直して執筆に向かおうとする。沈鬱な気分を晴らすには何か心慰める音楽がどうしても必要だ。
"The British Collection"
エルガー:
序奏とアレグロ
弦楽セレナード
ソスピーリ
エレジー
組曲『スペインの貴婦人』
ウォーロック:
弦楽セレナード*
ネヴィル・マリナー指揮
アカデミー・オヴ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
1967年11月20、21日、68年4月9日、ロンドン、キングズウェイ・ホール
1977年1月29日、6月14、15日、ロンドン、セント・ジョンズ、スミス・スクェア*
London 421 384-2 (1989)
若き日のマリナー率いるASMFのエルガー、とりわけ
序奏とアレグロの魅惑は何物にも代えがたい。大見栄を切るようなスタイリッシュな冒頭部から心を掻き立てる詠嘆へ、そして駆け抜けるようなアレグロの目覚ましい疾走感。バロック合奏で鍛えた絶妙なアンサンブルが紡ぎ出す光彩陸離たるエルガーは、往年の大家たちの情緒過多の浪漫主義を一気に古びさせた。続く各曲だって少しも引けを取らない。あえかな弱音を巧みに弾き分けた弦楽セレナード、余韻嫋々たるソスピーリ、どれもが素晴らしい。学生時代に初めて耳にし刷り込まれた演奏だから、というだけではない、永く規範として聴き継がれる名演だろう。
このCDはカヴァー・デザインも秀逸だ。ちょっとお目にかけようか(
→これ)。
フィルアップのウォーロックの
弦楽セレナード(フレデリック・ディーリアスの六十歳の誕生日のために)も抑制の利いた抒情がこよなく美しい。心が癒されていく思いがする。この一曲だけは残念にもLP時代に聴く機会を逃した。ヴォーン・ウィリアムズとウォーロックで表裏をなすアルバムに収められていた演奏だそうで、「カプリオール組曲」も収められていた由。日本盤は出たのだろうか。