小雨のなかを今しがた帰還。まだアルコールが体内を経巡っている状態である。
三十数年来の畏友である映画評論家の植草信和、フリーライターの邨野継雄の両先輩をゲストに新宿で集まった。迎え撃つわが旧・荻窪大学OB側は三浦規成君と小生のふたりなのがちょっと寂しい。中年(というか初老)四人が紀伊國屋書店で六時に落ち合い、そのまま駅に近い安居酒屋「三平酒寮」へ直行。
この顔触れなので話題の中心はやはり映画。植草さんが配給を手掛ける来月封切の韓国映画『
クロッシング』(キム・テギュン監督作品)のチラシを手渡される。脱北者の問題を扱った力作だそうで、実際の当事者百余人から丹念に取材し、実物そっくりのセットのなかで迫真のドラマが進行するという。「これは必見だよ」と植草さん。すでに各方面に波紋を投げかけていて、「4月17日より、命がけのロードショー!!」という際どい惹句もあながち誇張ではないらしい。
そのあとは林美雄さんの思い出話に始まり、クリント・イーストウッドの評伝から評判の中間小説やTVドラマまで、話は縦横に駆け巡って尽きることがない。邨野さんは「林美雄について今のうちに本を書いておかねば」という気持ちでいるとのこと。誰かが書かねばならないし、適任者は邨野氏を措いていないと衆議一決した。
気がついたら十時を回っていた。近いうちにもっと大人数での再会を約して散会。