昨日まで商店街のほうぼうを彩ってきたクリスマスのツリーや電飾があっと言う間に撤去されて、家々の門前にはさも当然という顔をした角松が鎮座している。この変わり身の早さに年の瀬の慌ただしさを痛感する。
八百屋で蜜柑をまとめ買いした。年末は大晦日まで営業するというので慌てることはないのだが、この時期に買いそびれると、外皮が厚くて味の薄い正月用の蜜柑を買わされる羽目になる。小粒だが皮が薄く、甘くて美味しい蜜柑はこの時期で打ち止めになってしまう。売り切れる前に買っておくに如くはない。
その甘い蜜柑を三つ四つ携えて入浴するのが冬の夜の醍醐味だ。ゆっくり湯に体を浸しながらおもむろに蜜柑の皮を剝く。至福の時とはこの瞬間をいう。