こんなCDが出ているなんて知る由もなかった。紙ジャケット表紙にはこうある。
A katona története
さっぱり判らない。それもそのはず、洪牙利語なのだ。片言隻句すら知りはしない。ブダペスト音楽センターというところが版元。
幸いそのすぐ上に、これは万国共通語で
Igor Stravinsky ― Charles-Fredinand Ramuz
と記されている。やれやれ助かったわい。つまりこういうことだ。
イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲
シャルル=フェルディナン・ラミュ台本
兵士の物語 A katona története
ハンガリー語訳/ヤーノシュ・ラクフィ
演出/タマーシュ・アシェル
指揮/アンドラーシュ・ヴィルヘイム
語り/ヤーノシュ・クルカ
兵士/ヨージェフ・サルヴァシュ
悪魔/ラースロー・ヘリエイ
皇女/ユディト・シェル
クラリネット/ラヨシュ・ロズマーン
ファゴット/タマーシュ・ベンコーチュ
トランペット/タマーシュ・ヴェレンツェイ
トロンボーン/イェネー・カーチク、フェレンツ・コーチャーシュ
打楽器/ゾルターン・ラーチュ
ヴァイオリン/スパルタクス・ユニキ
コントラバス/ヴィルモシュ・ブザ
1998年(演奏)、2000年(台詞)、ブダペスト
Budapest Music Center Records BMC CD 041 (2000)
恐る恐る聴き始めたのだが、それなりに愉しめてホッとひと安心。熟知している物語なので何語で語られても理解できる。シェイクスピアやチェーホフの芝居とおんなじだ。なかなかの名調子だし、器楽アンサンブルも手堅い。
これまでにフランス語、英語、ドイツ語、イタリア語、日本語で『兵士の物語』のディスクに親しんできたけれど、考えてみたらハンガリー人がハンガリー語で演じるのは当たり前だ。レコードになっていなかっただけの話なのである。
この調子だと、今後ロシア語、ポーランド語、チェコ語、リトアニア語…とさまざまな『兵士の物語』をCDで耳にする機会がありそうだ。それどころか中国語やヒンドゥー語やアラビア語の『兵士』だって登場することだろう。
因みに現時点で架蔵する『兵士の物語』は以下のとおり。
→「兵士の物語」ディスコグラフィ -1-(LPモノラル篇)
→「兵士の物語」ディスコグラフィ -2-(LPステレオ篇)
→「兵士の物語」ディスコグラフィ -3-(CD篇 その1)
→「兵士の物語」ディスコグラフィ -4-(CD番外篇)
→「兵士の物語」ディスコグラフィ -5-(CD篇 その2)
このハンガリー語盤はどうやら管見の限りでは三十五人目の『兵士』のようだ。