今頃になって夏の疲れがどっと出たのだろうか、全身がだるく、首と肩がこわばり、おまけに腹までこわした。無理をせず休養をとれという注意信号かもしれない。なので明日からの週末はどこにも出掛けず家にいて、過ぎゆく夏を惜しむことにしよう。
こんなCDを見つけた。これまで存在することすら知らなかった。
"Music of Claude Debussy"
ドビュッシー:
フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ*
ビリティスの歌**
美しい夕べ (チェシス&カトラー編)
チスドレンズ・コーナー (カルロス・サルセード編)***
歓びの島+亜麻色の髪の乙女+舞曲 (デイヴィッド・ヌーン編)****
朗読/クレア・ブルーム**
フルート/リンダ・チェシス
ハープ/サラ・カトラー
ヴィオラ/ダニエル・アヴシャロモフ*
フルート/キャスリーン・ネスター**
ハープ/ジャネット・パウルス**
チェレスタ/エリザベス・ディフェリス**
チェロ/キャス・ジャーカ***
ニュー・ワールド弦楽四重奏団****
1990年8月30日~9月16日、ニューヨーク、アメリカ芸術文学アカデミー
Innovative Music Productions MCD 23 (1991)
フルートとハープを含むドビュッシーの室内楽、といっても最晩年の「フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ」と、朗読付きの「ビリティスの歌」(2フルート、ハープ、チェレスタ)しか存在しないので、高名なハープ奏者サルセードによる編曲版「子供の領分」(フルート、チェロ、ハープ)、デイヴィッド・ヌーン編曲版の三曲(フルート、ハープ、弦楽四重奏)、さらにわざわざ新たな編曲「美しい夕べ」(フルート、ハープ)まで拵えて一枚のアルバムに仕立て上げたもの。なかなか面白い趣向ではあるが、やはりオリジナルには敵わないのはまあ当然なのだ。
ひとりとして知った名のないアメリカ勢のアンサンブルは過不足ない出来。最大の目玉は朗読に往年の名女優(あの『ライムライト』の!)クレア・ブルームが起用されて、珍しいことに英語版「ビリティス」が聴けることだろうか。
それにしてもフルートとハープ、それにヴィオラを織り合わせて室内楽を紡いだドビュッシーの卓見には驚くほかない。過ぎゆく夏を惜しみつつ心静かに聴くには最適な音楽ではないか。