いよいよ梅雨入りだそうだ。夜半から降り続く雨は朝になってもやみそうもない。
本来なら在宅して雨読を決め込みたいところだが、そうも言っていられない。佐倉の川村記念美術館で開催中の「マーク・ロスコ」展がいよいよ最終日を迎えるというので、万障繰り合わせて出掛けてきた。
同じ千葉県といっても拙宅から佐倉までは優に一時間かかる。しかもその最寄りの駅からさらに二十分ほど送迎バスに揺られてようやく辿り着くのだから、出向くのには相応の覚悟が必要だ。こんな辺鄙な場所にかつて十五年も奉職していたのが我ながら信じがたい。しかも前半の七年は東京から通勤していたのだ!
JRの駅を降りてバス停で待っていると、次々に人が現れて列ができる。ほどなく到着したバスは京成の駅ですでに少なからぬ先客を乗せているので、われわれが乗車するとほぼ満員状態になった。さすがに最終日だけのことはあるわい。
雨に濡れた田園風景を眺めていたら、ほどなく美術館に到着。ちょうど正午になったので付属レストランでまずは腹拵え。ここもたいそう賑わっている。
昼食を終える頃には雨もすっかり上がった。久し振りに白鳥の池越しのパノラミック・ヴューにしばし溜息をつく。まさしく別天地の趣。たまに訪れると感激もまた一入だ。毎日通うのはもう勘弁してほしいが。
館内に入ると、ここも平日とは思えない人出だ。売店にも人だかりがしている。
まずは順路どおりにゆっくり常設展示を拝見。モネ、ルノワール、ブラック、ピカソ、藤田、レンブラント、マレーヴィチ、カンディンスキー、モホイ=ナジ、ガボ、エルンスト、シュヴィッタース。このあたりは何度観ても盤石のラインナップだ。ジョゼフ・コーネルの箱とコラージュにも目配せする。二階に上がってバーネット・ニューマンの贅沢な一室。そしてポロック、ラインハート、ルイス、ライマン…。ここらあたりで早くも眼福ならぬ満腹に近い状態になる。なので続くステラの部屋では最初期の黒一色の絵のみ一瞥。これは1958年、すなわちロスコの「シーグラム壁画」と同時期の制作になるものなのだ。
ここまで早足で三十分。いよいよ順路の終着点は展覧会「マーク・ロスコ」会場である。さすがに観客がすでに大勢いて、思い思いのときを過ごしている。
(まだ書きかけ)